民泊で住宅ローン控除が不適用に、貸出しホストが必要な税金ポイントを解説【コラム】

こんにちは。

今回からトラベルボイスでコラムを執筆することになった公認会計士・税理士の石割由紀人です。5年後の東京オリンピックに向け、一般個人住宅の空き部屋に観光客を有料で泊める「民泊」が広がりをみせています。

民泊のマッチングサービス(一般住宅の空き家を貸し出す人向けの仲介ウェブサイト)の中で一番有名な米国企業Airbnb (エアビーアンドビー)も日本国内で既に1万3000件以上の物件を登録しています。民泊の貸し手(ホスト)も収入を得る以上、納税義務があるのかどうかは気になるところでしょう。

自宅を民泊のために貸し出す場合、納税義務はないとお思いの方もいらっしゃるかもしれません。結論からしますと、やはり民泊の宿泊料も所得税がかかってくるケースはあります。

この点に関し、観光庁観光産業課課長補佐の谷口和寛氏は、こう指摘しています。

個人が生業として部屋を貸して、ある程度所得が積み上がってくると、確定申告が必要になってくる。それを税務署がどこまで捕捉できるかという問題もある。

民泊の収入の所得区分は? -確定申告は賃料収入20万円がボーダーライン

まず、自宅を民泊のために貸し出して賃貸収入を得る場合、その所得区分は一般に雑所得と解されるでしょう。ただし、賃料収入(給与所得および退職所得以外の所得の合計)が20万円を超えない限り確定申告は不要となります。なお、20万円を超えない場合でも、必要経費が大きい場合、確定申告をすることによって所得税が還付されるケースもあるでしょう。

一方、不動産賃貸業を行う個人が、賃貸不動産を民泊のために貸し出して、賃貸収入を得ている場合、その所得区分は不動産所得に該当すると考えられます。

確定申告が必要な場合と注意点 -住宅ローン控除が使えなくなる可能性も

賃料収入(給与所得および退職所得以外の所得の合計)が20万円を超えれば、翌年2月16日から3月15日の間に確定申告をすることが必要となります。

住宅ローン控除の適用期間中の自宅を賃貸した場合には、住宅ローン控除は使えなくなりますのでご注意ください。

住宅ローン控除を認めてもらうには、「新築又は取得をした住宅の床面積が50㎡以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。」が要件となります。

賃貸併用住宅の場合、自己居住部分の借り入れについては住宅ローン控除を受け、賃貸部分のローン金利については不動産所得の経費として計算することになります。

50㎡以上の住宅であれば、1LDKや2LDKの間取りが多いと思いますが、床面積の2分の1以上を自己の居住の用に供していれば住宅ローン控除も自己の居住用部分には認めてもらえると思います。賃貸部分については認めてもらえません。

airbnbのホストで、不動産所得を申告しないで、賃貸部分も含めて、住宅ローン控除にしているケースもあるかもしれませんが、当然、間違った処理です。

airbnbに掲載(ホストになった時点)で、すでに賃貸用とみなされるのか?という疑問があるかもしれませんが、airbnbにホスト登録し、サイト上に物件を掲載するだけなら(賃貸していない状態であれば)、住宅ローン控除に影響しないでしょう。実際に貸し出しを行ったかどうかが適用除外されるかの判定ポイントです。

それでは1回でも貸し出しがあれば、住宅ローン控除適用除外になるのでしょうか?

この点に関し、明文規定はなく、推測部分も多くあまり踏み込んだことは言えないのですが、1回でも貸し出しがあれば、住宅ローン控除適用除外リスクはあると思います。

石割 由紀人(いしわり ゆきと)

石割 由紀人(いしわり ゆきと)

公認会計士・税理士。国際会計事務所にて監査・税務業務に従事後、ベンチャーキャピタルを経て、スタートアップベンチャー支援専門の会計事務所を経営。多くのベンチャー企業等の株式上場支援・資本政策立案等を多数支援。上場会社をはじめ多くの社外役員も兼任。

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