旅行・観光でもロボット「Pepper」続々、“賑やかし”から接客の実務補助など本格化 -Pepper World 2016

ソフトバンクとソフトバンクロボティクスは、感情認識ロボット「Pepper」の法人向け販売を本格化する。2016年1月27日と28日に、法人での活用事例を紹介するイベント「Pepper World 2016」を開催し、現在の導入状況と今後の展開を発表した。特に医療や介護、教育に加え、観光関連分野に注力する方針だ。※写真 発表会には小泉今日子さんや広瀬すずさん、ピースさんも登場

法人向けの販売「Pepper for Biz」は2015年10月に開始しているが、アプリの開発パートナーが200社を超えたことで「準備が整った」(ソフトバンクロボティクス・冨澤社長)と認識。「iPhoneが多種多様のアプリ開発後に一気に爆発した時と同じようになる。これの多言語展開でさらに広がる」(ソフトバンク・宮内社長兼CEO)としている。


“賑やかし”から実務補助へ進化、Pepperだけの携帯ショップもオープン

ソフトバンク・宮内社長兼CEO

すでに500社以上の企業で導入しており、発表会ではその先行事例と成果を発表。例えば、コーヒーマシンの販売担当として150店舗に導入したネスレ日本では、集客効果が15%アップ。これを受け、今後は1000店舗まで拡大する方針だ。

また、みずほ銀行では10店舗で金融商品の案内用で導入したところ、Pepperの対応客の10%をさらに詳細な説明をする有人カウンターに送客でき、最初のセールスの取り込みに成功したと評価しているという。



ソフトバンクロボティクス・冨澤社長

ソフトバンクでも全国200店舗で呼び込みやヒアリングで活用したところ、集客が1.5倍となり販売も増加。2016年2月末には導入店舗を2000店に拡大する。

Pepperの担当業務についても、「これまでは来店時のエンターテイメント的な接客パターンだった。しかし、今後は端末選びの案内など店員の実務補助ができるようにし、有人スタッフの接客時間の短縮化に挑戦したい」(宮内氏)とし、より実務に近いサポートに進化させる考えだ。

2016年3月28日~4月3日には、表参道に「Pepperだらけの携帯ショップ」を期間限定でオープン。5台程度のPepperを配置し、店舗への呼び込みや受け付け、来店目的のヒアリング、商品紹介などを行なう。一部の手続きは有人スタッフのサポートが必要になるが、同店舗での新規契約をできるようにする。


顔認識でデータを「見える化」、新たな接客を生む

会場では先行企業のペッパー導入事例を展示。ソフトバンクの「Pepperだらけの店舗」のイメージ

Pepperの法人活用で、宮内社長が強調するメリットの1つが、「接客データの見える化」。顔認識ができるため、およその年齢や性別から来店時間、購入・興味を持った商品など「全てのデータが取れる」とアピールする。

さらに富澤氏は、顔認識を一度行なえば、次回からは個人情報の入力なしに接客をすることも可能とし、「そういうオペレーションができれば、今までにないビジネスモデルやサービスが生まれると思う」との可能性を示した。

また、ロボットならではの効果やコミュニケーションもあると言及。例えば、店舗での呼び込みでは、人では恥ずかしがって客を引き付けることが難しい場合も多い。富澤氏は、「ロボットだから言える表現がある。人を超える付加価値を反映していく」と述べ、Pepperが人のサポートだけではなく補完する存在であることもアピールした。

なお、ソフトバンクでは法人向け販売の強化にあわせ、2月1日から導入相談用のアトリエを東京、大阪、愛知、福岡の全国4か所に順次オープン。2月22日には専用のアプリストア「ロボアプリマーケット for Biz」(マーケット)をオープンする。さらにキャンペーンとして、2月29日までに導入予約をした場合、マーケットのロボアプリを最大3か月間無料にするなどの特典を用意した「導入支援キャンペーン」も実施する。

「Pepperだらけの店舗」では、各ペッパーは「呼び込み」「受付」「ヒアリング」などの担当業務のみを行ない、来客は該当のペッパーを回りながら手続きをしていく

旅行・観光関係でのPepper導入まとめ

すでに旅行・観光関係でのPepperの導入も進んでいる。これまでトラベルボイスで紹介された取り組みは以下の通り。一般発表されたばかりの2014年7月時点とは、わずか2年弱で役割や考え方が大きく変わっており、Pepperをはじめテクノロジーの進化のスピードを改めて考えさせられる。


IMG_18562日間にわたって開催されるイベントには多くの申込みがあったといい、オープン時には大きな行列ができた。

ロボットの法人利用を検討・研究したい需要の高さが見て取れる会場内は、熱気に包まれていた。また、介護、教育などの他に「未来のトラベル」と題したブースも設置され、観光産業での活用を積極的に呼びかけていた。


2月1日追記:今回のイベントの来場者数は2日間合計で約7000人となったという。IT業界を中心に、製造業、小売、サービス業、介護、病院、金融、不動産など様々な業界からの来場者が見られた。

山田紀子(旅行ジャーナリスト)


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