フィンエアーCEOに聞いてきた、再び日本市場を重視する方針から、中国路線の縮小まで

このほど、フィンエアーのトゥルッカ・クーシストCEOが来日し、日本市場について語った。同氏は、2024年4月にフィンエアーのCEOに就任。物流大手のPosti Groupの社長兼CEOから旅客輸送を中心とする航空会社に転じた。

フィンエアーは、2025年夏期スケジュールで日本/ヘルシンキ路線を強化する。3月30日からは名古屋線を最大週4便に、5月2日からは関西線を毎日運航にそれぞれ増便。羽田線週7便と成田線週7便を合わせて、ピーク時には計週25便を運航する。

コロナ前の週約40便にはまだ及ばないものの、ロシア上空の飛行が制限される中でも、週25便まで戻すのは「日本市場のプレゼンスを確保する戦略の表れ」とクーシストCEOは説明する。

一方、コロナ前に就航していた福岡と札幌の複便については、「引き続き注視していくが、需要次第」と話すにとどめ、当面は4空港への運航に集中する考えを示した。

現状、日本人の海外旅行需要は、依然としてコロナ前の7割程度にとどまり、回復の遅れが続いているが、クーシストCEOは「ビジネス重要やアッパークラスの需要は旺盛」と明かす。レジャー需要については「目的地としてのフィンランドの魅力を伝えていきたい」と意欲を示した。

また、日本では戦略パートナーであるJALとの関係を重視。クーシストCEOは、今回の来日の目的の一つもJALとのミーティングであることを明かしたうえで、「二社間だけでなく、ブリティッシュ・エアウェイズ、イベリア航空を加えたジョイントベンチャー、またワンワールドメンバーとして、関係構築を強化していきたい」と続けた。

パイロット労使協議の影響は最小限に

加えて、クーシストCEOはグローバルの路線展開についても触れた。コロナ前に注力していた中国路線について、コロナ前は週30~35便を運航していたが、現在は上海線を冬期で週2便、夏期で週4便運航するのみ。ロシア空域の制限を受けない中国の航空会社に「理不尽なアドバンテージがある」としながらも、「今後の環境の変化を引き続き注視していく」と話した。

一方、北米路線は好調。ワンワールドメンバーのアメリカン航空との協業でヘルシンキ/ダラス線を夏期には週11便に増便するなど路線の拡大も進めている。クーシストCEOは、中国路線を縮小する中、「長距離国際線ネットワークはバランスの取れたものになっている」と評価した。

このほか、2024年12月から続いている同航空パイロット協会との労使協議についても言及。今後の見通しについて、「北欧には北欧の対応の仕方がある。現在、そのプロセスが進行中」と話す一方、「影響を全くゼロにするのは難しい」と説明。日本路線については、「影響を最小限にとどめるが、長期的な日本の重要性や戦略は何ら変わりはない」と強調した。

フィンエアーのCEOに就任して約8ヶ月。クーシストCEOは、今後の戦略策定の中心として、市場ごとの利用者のニーズの理解を深めていく。その声をもとに、「サービスやプロダクトの満足度を向上させ、デジタルを活用して旅行の最初から最後まで一気通貫で、よりより体験を提供していく」との方針だ。

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