オーストラリアと日本の旅行業界がタッグ、日本人向け旅行商品の開発で「2020までに日本人旅行者70万人」目指す

オーストラリア政府観光局(TA)とJATA(日本旅行業協会)は2016年9月21日、「オーストラリア・ツーリズム2020プロジェクト」覚書の調印式を都内で行った。
※写真左から、JATA田川博己会長、オーストラリア政府観光局トニー・サウス会長

対象となる期間は2020年12月31日まで。数値目標として、オーストラリアを訪れる日本人旅行者を年間70万人に増やすことを掲げたほか、訪豪日本人旅行者の46%を占めるリピーターや、成熟した日本の海外旅行市場が求めるニーズに応えられる新プロダクト開発に継続的に取り組むことなどで合意した。

来日したトニー・サウスTA会長によると、昨年末、JATAが役員会をブリスベンで開催した際、TAとJATAで会合を持ったことで相互理解が深まり、今回のプロジェクトに至ったという。プロジェクト始動に伴い、現在、空席になっているTA日本支局長も任命。「すでに人選は終了、10日以内には発表できる」(サウス会長)。

目標実現に向けて、TAのサウス会長が最大の課題として挙げたのは「継続的に、日本人客向けの豪州プロダクトを開発すること」。日本人旅行者の嗜好は変化しており、新しい動機づけや、今までにはない経験の商品化が必須と話した。そのほか、他デスティネーションとの競争や航空座席の供給増なども課題としつつ、「いずれも克服できる」と自信を見せた。

一方、JATAの田川博己会長は「旅行にとどまらない交流や体験を提供することが今後の課題。既存のオーストラリア商品では伝えきれていなかった魅力をもっと深く掘り起こす」と説明。具体的には、TPPで注目を集める農業を体験するツアーや、日本国内の地域おこし、産業おこしに役立つ旅の在り方を考えているという。「今や数では中国市場が圧倒的だ。しかし成熟期に入った日本の旅行市場だからこそ、実現できる旅の新境地を開拓したい」(同会長)。

オーストラリアを訪れる日本人客数は、2004年の70万人をピークに低迷、ここ数年は33万人前後に落ち込んでいた。また年間70万人だった時代も、その中身は「ケアンズへの安いツアーが半分を占めるなど、課題は多かった」(JATA事務局)。

だが昨年夏以降、航空会社による新路線就航や消費者の安全志向、欧州離れなどが追い風となり、豪州への旅行需要は急増中。TAによると、2016年7月までの12カ月間の日本人訪問客数は、前年同期比17.2%増・38万1600人。今年は40万人を突破する勢いだ。日本人旅行者による支出額も、同14%増・15億豪ドルと絶好調だ。TAでは2020年の日本人旅行者による支出額目標を27億~33億豪ドルとしている。

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