写真で見るツーリズムEXPO2016、テクノロジー活用からスポーツ連携まで今年のトレンドを振り返ってみた

ツーリズムEXPO2016が終了した。一昨年、日観振の「旅フェア」と日本旅行業協会(JATA)の「旅博」が統合して生まれたツーリズムEXPOは今年で3年目。今年の来場者数は4日間を通して18万5800人と目標を上回る結果となった。展示会には全47都道府県、140か国・地域から1662コマの展示、盛況のうちに幕を下ろした。

ツーリズムEXPOは、その時々の観光産業のトレンドをうつす鏡ともいえる。今年のトレンドを編集部の視点で振り返ってみた。

JAPAN NIGHT  ―東京・日本橋で日本の伝統文化を発信

旅の始まりとされる五街道の起点「日本橋」を舞台に、繰り広げられた日本の文化発信イベント。一般消費者が「竿灯まつり」など本物の伝統芸能のパレードを見られる機会を作り、日本各地の銘産品や飲食を楽しめる広場を展開した。

栃木県「鹿沼秋まつり 彫刻屋台」の山車や秋田の竿燈、東京に居ながらにして目の前で繰り広げられる光景に完成の声が上がった。また、その準備における作業工程も公開。どちらもスマホを片手に写真撮影のシャッター音が響き渡り、その場でSNS投稿する人々の姿があった。速報によると、このイベントへの来場者は1万5200人。全国に投稿の拡散があったと思われる。


秋田の竿灯まつりが再現された栃木県「鹿沼秋まつり 彫刻屋台」の山車。準備の様子が公開された。日本橋・三越横に日本各地の銘産品や飲食を楽しめる広場を展開。

同時にBtoB完全招待制で行われた「国際交流の夕べ」には政府から菅官房長官も来賓として登壇。また、国交省からは大臣・副大臣・政務官が挨拶に立ち、観光産業が国の重要施策である姿勢が見て取れた。

「国際観光の夕べ」で鏡割りの様子

展示会のテクノロジー活用も定番に -VR活用でより具体的な観光アピール

旅の情報発信でのテクノロジー活用も定番となりつつある。特に今年はバーチャルリアリティー(VR)を活用した出展社が急増。来場者の反応も上々のようだ。

マカオ観光局はマカオグランプリの様子をVRで公開羽田空港は、空港内のサービスを体感できるVRHISは秋から店頭で提供開始するハワイのVRを紹介

スポーツとの連携が鮮明に -パラリンピック競技の体験ゾーンも

今年のツーリズムEXPOは、スポーツ庁、文化庁、観光庁が締結した包括的連携協定をふまえた「ジャパン・トラベル・マンス」の一環となっている。こうしたことを背景に、今年は「スポーツ」分野での出展エリアが拡大した。リオ五輪で注目を集めたパラリンピック競技を体験できるゾーンも登場。同じエリアには、日本旅行業協会が「バリアフリー旅行 相談デスク」を設け、相談を受けた。

パラリンピック競技の体験ゾーンではボッチャの体験も。メダリストも登場し、子どもたちと楽しんだ。パラリンピック選手たちのサインも展示

観光産業に求められる「持続可能なツーリズム」への責任を認識

初日のグローバル観光フォーラムでは観光国連世界観光機関(UNWTO)タレブ・リファイ事務局長が「(観光の)成長とともに責任が生まれる」と指摘した。観光産業の社会的責任と持続可能な環境整備が叫ばれて久しい。インバウンド旅行者の拡大基調が定着する中、日本の観光産業も真剣に「責任」と向き合うタイミングが来ている。今年のEXPOでは、多くの来場者がそれを認識できるシーンが数多くあった。

では、「責任」を果たす行動とは何か――?官民がともに考え続け、答えを見出すことが求められるが、ひとつのヒントがパラリンピック競技の体験ゾーンにあった。車椅子バスケットボールやボッチャなどを実際に体験することで、想像以上に体が不自由な人の動きが困難であることを体感する来場者の姿だ。持続可能なツーリズムを考え、誰もが旅に出られる世界を作り出すうえで、体験から得られたものは大きいだろう。

旅人が旅を楽しみ、受入れ側が経済的に潤い、さらに魅力的な観光地として発展し、また旅人が集まるというエコシステム。EXPO会場では東北・九州の支援活動が大々的に行われたが、観光が被災地復興の一助になることこそが持続可能なツーリズムの一環といえる。

九州応援企画としてレゴブロックで熊本城を再現。チャリティとしてレゴ1個100円で参加できるようにした。

年々、拡大を続けるツーリズムEXPOも3年目を終えた。来年以降は、転換期を迎え、さらなる進化を遂げる方針も発表されている。今年の収穫を糧に、来年の新たなステージに期待したい。

*ここで紹介した写真は、会期中のごく一部。華やかな展示会の様子などは、主催者の写真ギャラリーでみることができる。

トラベルボイス編集部 山岡薫

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