海外への修学旅行に「国の支援」を提言、若者の国際感覚を育て双方向の観光推進へ -日本海外ツアーオペレーター協会

新春の恒例行事となっている日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)の新年会が1月10日に開催された。協会会員の海外ツアーオペレーターのほか、旅行会社、政府観光局などのトップが集結。また、大使館から各国大使が参加し、業界が一丸となって海外旅行の市場回復に向けた取り組みを確認した。

冒頭のあいさつにたったOTOA会長の大畑貴彦氏は、海外渡航者が増加するとみられる昨年を「テロや自然災害、感染症などが海外旅行をためらわせる結果となり、また、旅行者増が必ずしも旅行会社の利用に結びつかない厳しい結果」と振り返った。また、日本人のライフスタイルの変化やオンライン旅行会社(OTA)の急成長、テクノロジーの発達によってVR(仮想現実)による疑似体験旅行も登場するなど環境の変化に触れ、「我々は、真の体験旅行が、人による対応がいかに素晴らしいかを消費者にアピールし続けることが大切」と強調した。

そして、大畑氏は切実な課題となっている若年層の海外旅行者数減少への対応として、「(新たな国の施策として)海外修学旅行に対して援助をお願いしたい」と提言。OTOAとしては、これまでも若い世代のパスポート取得無料化や、子供や孫の海外旅行費用に充てる資金の贈与非課税を提言してきたが、修学旅行で海外旅行を体験することで若者の国際感覚を育て、実のあるツーウェイ・ツーリズム促進の礎になるとした。

大畑氏は新たな海外修学旅行への支援という新たな提言について、今後詳細を詰めていく方針。OTOAとして継続的に提言していく考えだ。

日本旅行業協会の「アウトバウンド推進協議会」に期待

img_5651日本旅行業協会(JATA)は、2017年2月に約100団体・企業からなる「アウトバウンド促進協議会」を設置する予定だ。OTOAの大畑氏は、この協議会について「大いに期待し、我々OTOAも協業できれば」と考えを表明した。

新年会には協議会の会長を務めるJATA副会長の菊間潤吾副氏も来賓として登壇。菊間氏は協議会の活動で業界内のコミュニケーション強化を図る考えを述べた。旅行会社と政府観光局や大使館、OTOAなどの関連事業者などとのコミュニケーションを深め、エリア別部会や旅行商品のプランニング担当者と現地との連携などを密にしていく方針だ。

また、菊間氏は昨年の日本人の海外旅行についても総括。苦戦した海外旅行市場だが、「海外渡航者数は約5%増の1700万人に届くのではないか」とみる。しかし、「中身をみると旅行会社の取り扱いは増えておらず、パッケージツアーは低迷している」と評価。新たな年を迎え、新たな協議会などを軸に巻き返しを図る意気込みを示した。

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…