渋谷区観光協会のクラウド活用事例、1500個のビーコン設置でデータ活用、街のIoT化で観光体験を共創型に

日本オラクルが先ごろ開催したクラウドサービスの紹介イベント「オラクル・クラウドプラットフォームサミット東京」で、渋谷区観光協会がクラウドを活用した観光活性化の事例を紹介した。

登壇した同協会理事長の金山淳吾氏は、「渋谷はラッキーな場所。スクランブル交差点が世界に知られ、自然に人が集まってくる」と優位性を示すとともに、「渋谷には目立った観光スポットがない。観光客はスクランブル交差点やハチ公を見たら、新宿や銀座に行ってしまう」と弱点も提示。地域経済と結びつけるため、観光客にいかに回遊し、滞在してもらうかが課題であることを説明した。

渋谷区観光協会理事長の金山淳吾氏

その課題対応を目的に、「シブヤ観光ICTソリューション」を計画。街中へのビーコンの設置を開始した。渋谷の中心街や原宿、恵比寿、代官山などを中心に、2017年3月に800個に拡大し、2017年度中には1500個にまで広げる予定だ。スマホ向けアプリ「PLAY! DIVERSITY SHIBUYA」と連動させ、観光情報の提供とともに、歩いている場所に応じたクーポンや店舗情報などを発信する。「検索対象にならない情報に触れるきっかけを作り、回遊を促す」(金山氏)という。

さらに、ビーコンのネットワークは外部パートナーにも開放。「街のIoT化で観光体験を共創型で作っていく」とその狙いを話す。「まずは日本人を集めて渋谷で多様に楽しんでいただく。どんな人がどこに集まってどのように楽しんでいるかを把握し、その動向を踏まえて外国人観光客を送り込んでいく」ことが目的だ。

ビーコンでは情報を発信すると同時に、利用者の行動など様々なデータも集積される。金山氏は「集めた行動データを次の観光ビジネスの種にすることが大切」と強調。ただし「我々だけでは情報を取り扱いきれない」と述べ、分散するデータの統合・可視化で、オラクルのクラウドプラットフォームを活用することを明かした。

プレゼンテーション資料より

今回の講演は、「オラクル・クラウドプラットフォームサミット東京」の基調講演の一つ、「クラウドプラットフォーム戦略と新たな価値創造」で行なわれたもの。「地域活性化とオラクル・クラウド」をテーマとしており、渋谷区観光協会のほか、ブロックチェーン(分散型台帳技術)の活用による地域通貨での地域経済活性化に取り組むフィンテックソリューションのOrb社も登壇した。



取材:山田紀子(旅行ジャーナリスト)

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