タイ国政府観光庁(TAT)は、新しいマーケティングコンセプト「Open to the New Shades (新しい色合いへのいざない)」を発表した。これは、20年以上にわたって継続しているキャンペーンテーマ「Amazing Thailand」のもとで世界的に展開されるもので、昨年11月にローンチ。今回の発表によって、ロンドン、ホーチミンシティーに続いて東京でも正式にスタートする。
TATマーケティング・コミュニケーション担当副総裁のタネース・ペッスワン氏は、新しいコンセプトについて「タイの多様性を訴求し、今までにない新しい『タイらしさ』の魅力をアピールしていく」と説明。特に持続可能な地方の発展を目指し、バンコク、チェンマイ、プーケットなどの主要観光地以外の地方への送客を強化し、リピーターからファーストタイマーまで幅広い層をターゲットにしていく考えを示した。
新しいコンセプトのもとで展開していくテーマは、ガストロノミー(食)、ビーチと自然、アートと工芸品、文化、ライフスタイルの5つ。ペッスワン氏は「いずれマスマーケットはなくなるだろう。テーマを絞ったニッチなマーケットに焦点を当てていく」と説明した。
また、発表会では「Open to the New Shades」のテーマ音楽も披露。「ミュージックマーケティングは旅行者の想像力を掻き立てる重要なもの」(ペッスワン氏)との認識から、世界各国20人ほどのミュージシャンが参加して制作されたという。また、「Open to the New Shades」に合わせて新しい映像コンテンツも制作。今後、さまざまなSNSや航空各社の機内で配信していく。
2018年の訪タイ日本人の目標は165万人、滞在日数の延長にも注力
2017年の訪タイ日本人渡航者数は前年比7.28%増の154万4,328人。日本人観光収入(推定)は同9.67%増の約225億円。この結果をうけて、TATでは2018年の見込みとして訪タイ日本人渡航者数を同7.1%増の165万人、日本人観光収入を同4.4%増の235億円と設定した。TAT東京事務所マーケティングマネージャーの藤村喜章氏は、「人数ベースでは大幅な伸びが期待できないなか、観光収入の増加に注力していく。そのために滞在日数を伸ばしていくことに取り組みたい」との考えを示した。
ターゲットとするセグメントは、女性、学生、ファミリー、ウェディング、スポーツの5つ。そのうえで、旅行会社の商品造成に向けては、食旅、学旅、家族旅、ウェディング/ハネムーン、ラン旅を提案。特に家族旅は「これまでアピールが抜け落ちていたところ」(藤村氏)との認識から、夫婦や3世代も含めて強化していく。
また、食旅では昨年12月に発行されたバンコク版ミシュランを活用していくほか、ラン旅ではタイ各地で実施されるマラソン大会を訴求していく考え。このほか、リピーター向けには、「12 Hidden Gems(12の知られざる宝)」をテーマに、地方12県への誘客を進めていく。
なお、乃木坂46をタイ国観光大使として起用したプロモーションは、「特に女性へのアピール度が強い」(藤村氏)ことから今年も継続する。