出張クラウド管理「コンカー」、出張中の危機管理ツールを日本でも提供開始、日本市場で旅行事業の拡大へ

経費・出張のクラウド管理システムを提供するコンカー社は、出張中の従業員に対する危機管理ツール「Concur Locate」を日本市場で提供開始した。リアルタイムに集約された情報と視覚的にわかりやすい地図情報から、危機発生時に出張者の所在地特定や出張者のスマホにリスク通知などを行うもの。発表の記者会見で、同社代表取締役社長の三村真宗氏は「日本では、出張中の従業員の危機管理が非常に遅れている」と指摘し、新ツールで対応が進むことに期待した。

「Concur Locate」は、出張管理クラウド「Concur Travel」内の機能の一部。導入企業は、オプションとして活用することができる。危機発生時には、「Concur Travel」から得られる出張申請や旅程情報など、各種の情報を集約して地図上に従業員の所在を特定。特定の地域に出張者が複数いる場合は出張者全員の情報を抽出し、一括でスマホにメールなどで連絡をとることできる。

他国で先行して導入された事例では、2017年のイギリス・ロンドンのテロ事件後に自動検知から20分以内で安否確認が完了。同年のラスベガス銃乱射事件でも、自動検知から20分以内に支援が必要な従業員の確認ができたという。

これまでも、出張に関する危機管理ツールは他社でも発表されてきたが、同社サービスの最大の強みは、「Concur Travel」が経費管理クラウドの一部であること。企業の管理部門が経費管理の一つとして出張経費の一括管理を行うことができ、そのプラットフォームで危機管理までできる点だ。

日本の事業拡大へ、出張管理事業の拡大がポイントに

同社では、さらに日本での事業を拡大するために2017年に本格参入した出張管理事業を強化する考え。2019年には旅程管理のための「TripIt Pro」、国内出張予約を複数の旅行予約サイトと連携する「TripLink」もリリースする。

会見では、SAP Concurプレジデントのマイク・エバハード氏が「日本はSAPにとって重要市場。新規事業は特にそうで、米国以外では大きなビジネスユニットとなっている」ことを強調した。

同社の日本における旅行(出張)ビジネスは急速に伸びており、参入から5年後の2022年には売りあげ12倍を目指している。また、「Concur Travel」が占める事業構成シェアを2017年の24%から2022年には40%にまで拡大する方針だ。

また、事業拡大に向けて、日本では企業の出張管理を旅行会社が担うケースが多く、三村代表は将来的には旅行会社を介したOEM的な事業も視野に入れている。旅行会社が自社ブランドとして、コンカーの仕組みを提供するモデルで、海外ではすでに事例があるという。

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