インスタ映えはもう古い? 投稿トレンドや、チケット予約機能・決済についてフェイスブック責任者に聞いてきた

今年のWIT Japan 2018には、フェイスブック ジャパン執行役員でeコマースと旅行関連の広告展開を担当する鈴木大海氏が登壇。旅行との親和性が高いとされるインスタグラムの利用状況や最新トレンドを説明した。

現在、インスタグラムの月間利用アカウント数は世界で10億に拡大。同社のヒアリングによると、旅行に興味がある利用者の54%が過去1ヶ月にインスタグラムに投稿したと答えていることから、「今やインスタグラマー=トラベラーである」と話す。

トラベルボイスでは、登壇後の鈴木氏にさらに話を聞いてみた。

インスタ映えはもう古い? 「クスっと笑える」投稿が人気に

トラベルボイスの単独インタビューに応えた鈴木氏は、最近の投稿傾向について、こう話す。

「これまでは、カッコいいとかキレイとか、いわゆるインスタ映えと言われるビジュアルが好まれていたいが、それに加えて、最近では、クスッと笑わせるような『日常的な瞬間』をシェアできる投稿に人気がある」。

「単純に尖っているビジュアルではなく、ポジティブな楽しさがあるものが受ける。ユーザーの趣向の幅はさらに広がっているようだ」と付け加え、広告展開でもこうした傾向を意識したクリエイティブの構成を推奨する。

また、日本のユーザーは#(ハッシュダグ)を多用する傾向があり、「これは日本特有の特徴」だという。たとえば、「永田町でおいしいラーメン食べたよ」ではなく、「#永田町 #おいしい #ラーメン食べたよ」で文章を造る。「非常に興味深い傾向。#をおもしろく使い、かつ、#で表現したいものを的確に表す」という。

IGTVの登場で縦型動画が主流に? 動画広告にも工夫必要

インスタグラムのなかで存在感がますます高まっているのが、動画。最近では動画の投稿も視聴も急増しているという。2018年上半期だけで、4億もの利用者が動画を投稿しており、1日あたりの投稿件数は8000万件を超えるという。WIT Japanの登壇で、鈴木氏は「動画が以前にも増してパワフルなコミュニケーションになっている」と紹介した。

そして、「広告でも、ビジュアルコミュニケーションとしてその効果は大きい」と話す。本来的にはメディアごとにクリエイティブのフォーマットを出し分けることが理想だが、動画制作は現実的にコストがかかるため、他の媒体向けに制作したクリエイティブをインスタグラムに流用するケースが多いようだ。

しかし、鈴木氏はそうした場合でも、「ちょっとした仕掛けで訴求力は格段に上がる」と話す。

たとえば、横長フォーマットで制作したクリエイティブをスマホ用に縦長に切り取り、重要なメッセージや登場人物の配置をずらすだけでも効果は違うという。また、スマホでは音無しで見る場合が多いため、キャプションやサブタイトルのテキストを入れ込むことも重要になるようだ。

スマホでのスクロールは非常に早い。PCやTVで15秒のCMをリラックスしながら見る場合とは、視聴者の行動は異なる。

たとえば、スマホのニュースフィードの場合、ひとつのコンテンツをスクロールし終わるまでの平均時間は1.7秒だという。「この時間を念頭に置いて、できるだけキーとなるメッセージを最初に持ってくること。そして、その後に続けて見たくなるような仕掛けをすることが大切になってくる」と指南する。

インスタグラムでは今年6月20日に、縦型動画サービス「IGTV」をリリース。スマホでの動画視聴が爆発的に拡大している背景から、縦型スクリーンで表現するスタンドアローン・アプリとして提供を始めた。

通常、YouTubeなどの動画をスマホで見る場合は横にする必要があるが、IGTVの登場によって、「今後は、通勤や通学途中にスマホを縦にしたままで見ることができるカジュアル動画の人気が高まっていくだろう」と見込む。

日本でもインスタに予約機能、Oculus Goでの新展開も視野に

「旅行業界のソーシャルはもっと改善の余地があると思う」。アメリカのインスタグラムでは、すでにレストラン予約やチケット購入への動線が張られているほか、決済も視野に。鈴木氏は「将来的に日本でも実装できれば、旅行者にもっと便利に使ってもらえるツールになる」と期待をかける。

インタビュー時には発表されていなかったが、2018年10月、同社は簡単にユーザーのアクションを促すことができる「アクションボタン」を日本国内でも導入することを発表。レストラン予約機能を「ぐるなび」と連携して提供を開始するもので、国内の飲食店はインスタグラムのビジネスプロフィール上に「席を予約する」ボタンを追加できるようになる。タビナカで飲食店を発見したあとに、アプリを閉じずに予約まで完結できるようになるというわけだ。

また、フェイスブックが2014年に買収したVR会社Oculusが今年5月にスタンドアローンでOculus Goを発売。フェイスブックの知人と『Oculus room』という部屋でチャットができるようになっている。

いわゆる「会っている感覚が強い」アバター(分身)効果。「このVRも旅行とは親和性が高いはず。旅行で活用できれば、市場の活性化にさらに貢献できるだろう」と将来を見据える。

取材・記事:トラベルジャーナリスト 山田友樹

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