トラベルポート幹部、アクセスとの合弁会社設立断念に「非常に残念」、今後は単独で日本市場の取り組み強化へ

「トラベルポートTMCセミナー」に出席するために来日した同社アジア太平洋、中近東地区マネージング・ディレクターのマーク・ミーハン氏は、JALグループで航空券予約システム「AXESS」を運営するアクセス国際ネットワークとの合弁会社設立を断念したことについて、「非常に残念な結果」と話した。セミナー終了後の報道陣からの質問に応えたもの。

合弁会社設立の断念にともない、アクセス国際ネットワークは先ごろ、2021年3月をもって営業を終了することを発表。一方、親会社のJALはトラベルポートとライバル関係にあるアマデウスと戦略的パートナーシップを締結した。

ミーハン氏は「通常のM&A、買収、ジョイント・ベンチャーの形成などと同様に、非常に細かいデューデリジェンス(資産価値や収益力、リスクの詳細な調査分析)を行った。そのプロセスのなかではポジティブな要素も多かったが、最終的に細かい面で合意ができなかった」と話し、合弁会社設立断念の背景を説明。そのうえで、トラベルポートとしては単独で日本市場での取り組みを強化していく考えを示した。

トラベルポートは2018年4月にJALとのコンテンツ契約を更改。これによって、JALはトラベルポートのマーチャンダイジング・ソリューションでリッチコンテンツ&ブランディングの機能を利用することが可能になっている。JALはアマデウスを推奨GDSに指定したものの、ミーハン氏によると、トラベルポートとの契約は複数年にわたるという。

ミーハン氏は「(JALとアマデウスとのパートナーシップによって)旅行会社がGDSを変更すると思えない。日本市場におけるGDSのシェアは変わらないだろう」との認識を示し、日本市場を含むアジア太平洋地域の成長は著しく、「将来については非常に楽しみにしている」と付け加えた。

そのうえで、「トラベルポートの戦略に大きな変更はない」とコメント。引き続き、旅行会社や航空会社に向けのソリューション開発のために次世代技術への投資をグローバルに進めていき、各ソリューションをそれぞれのマーケットの特性に合わせるとともにパートナーの声を反映させながら、ローカライズする方向性は堅持していくとした。

このほか、ローカルGDSとグローバルGDSとの競合について、「旅行市場はますますグローバル化しており、航空会社はグローバルGDSを選ぶ傾向は強まるのではないか。特にTMC(トラベルマネジメントカンパニー)の場合はグローバルでなければ対応できなくなる」と話し、グローバルGDSへの集約の傾向は加速するとの見通しを示した。

「トラベルポートTMCセミナー」で挨拶するミーハン氏

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