東京商工リサーチによると、2019年の旅行業の倒産は件数が前年比7.4%減の25件、負債総額が29.9%減の14億2100万円となった。件数、負債総額とも2年連続で前年を下回った上、1999年以降の過去20年間で最少を記録した。
2019年の主な旅行業の倒産は、中南米方面の老舗・ウニベルツール(負債額2億円)や、国内外の格安航空券と国内旅行のオンライン販売を中心としていたエー・ティー・シー(同1億7800万円)など。
倒産の25件すべてが破産で、負債額別に件数を見ると、1000万以上5000万円未満が14件で最多。ただし、負債5億円以上の倒産がなかったほか、1億円以上5億円未満の倒産は前年の半分の4件にとどまった。従業員別では5人未満の零細規模の倒産が前年比11.1%増の20件で8割を占め、20人以上の倒産はなかった。
原因別では、販売不振が41.7%増の22件で全体の約9割に。販売不振を含む不況型倒産(販売不振、売掛金等回収難など)は23件で9割を超えた。
過去最少となった2019年の旅行業倒産の傾向について、東京商工リサーチでは天皇陛下譲位で生まれたゴールデンウィークの大型連休や、ラグビーワールドカップ開催などが追い風になり、倒産の抑制につながった可能性があると推察する。
ただし、事業継続を断念したものの、破産や民事再生などの法的手続きを取らない「休廃業・解散」の件数は123件(速報値)で倒産の5倍近く発生していることも指摘。2000年以降で2番目の次ぐ高水準で推移していると注意を呼び掛けた。
なお、2019年12月の倒産件数は2件(前年3件)、負債総額は9000万円(同1億9000万円)。前月11月と比較しても件数、負債総額ともに減少傾向となった。