国土交通省によると、2019年にクルーズ船で入国した訪日外国人旅客数(訪日クルーズ旅客数)は、前年比12.2%減の215.3万人で、2年連続で減少した。
これは、中国発のクルーズの減少によるもの。世界の客船会社は成長を見込み、中国市場に積極的な配船を行なってきたが、2018年以降は調整局面に入り、減少となった。これにより、訪日クルーズ市場の8割を占めていた中国発のクルーズ旅客数は14.5%減の174万人に縮小。その一方で、フライ&クルーズで日本から乗船した訪日クルーズ旅客は20.3%増の8万9000人に増加した。
日本の港湾への総寄港回数は、前年比2.2%減の2867回に減少。外国船社の寄港回数は1.0%増の1932回に増えたが、日本船社の寄港回数は8.1%減の935回に減少した。港湾別では、1位が那覇港(260回/2018年243回)で、博多港(229回/同279回)と順位が入れ替わった。また、3位の横浜港(188回/同168回)も4位の長崎港(183回/220回)と順位が逆転となり、九州の港への寄港が減少傾向となった。
これは、九州を中心に寄港していた中国発クルーズの減少によるもの。中国発のクルーズは前年比10.6%減の893回となった。これに対し、日本発のクルーズは20.0%増の707回に拡大。クルーズ船のクラス別で寄港回数を見ると、スタンダードクラスの寄港が1023回(2018年1181回)と減少したが、プレミアムクラスは732回(同661回)へ、ラグジュアリークラスは177回(同71回)と100回以上も増加した。
国土交通省によると、減少傾向にあった訪日クルーズ旅客数は2019年11月、17か月に増加に転じ、2020年以降は再び拡大すると見込む。客船会社が2020年以降、中国市場への大型客船の追加投入を計画している上、日本発着クルーズもさらなる増加が予定されているという。
なお、日本外航客船協会(JOPA)によると、クルーズ客船クラスの目安として、スタンダードクラスは1泊あたり70米ドル~、プレミアムクラスは1泊あたり200米ドル~、ラグジュアリークラスは1泊400米ドル~。スタンダードクラスは3~7泊のショートクルーズが中心なのに対し、ラグジュアリークラスは10泊以上のクルーズが多く、クラスが上ると泊数が長い傾向がある。