欧州旅行代理店・ツアーオペレーター協会(the European Travel Agents’ and Tour Operators’ Association: ECTAA)によると、航空会社と旅行代理店との間で行われる航空券支払いシステムが崩壊しかけている。ECTAAが欧州委員会に送った書簡のなかで、同協会は国際航空運送協会(IATA)の決済システムBSP(Billing and Settlement Plan)の現状を訴えた。
※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営するニュースメディア「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」に掲載された英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
IATAの決済システムBSPとは、旅行会社とIATA加盟の航空会社の間で行われる航空券代金の支払いの仕組み。航空会社への送金を一元化して、定められた支払いの期間のまとめた精算を行うもの。
ECTAAのPawel Niewiadomski理事長が語る内容はこうだ。
新型コロナウイルス(COVID-19)関連によるキャンセルのために、ここ数週間で数十億ユーロ規模の返金が発生しているが、その代金は旅行代理店が顧客への払い戻すことになっている。通常であれば、自動返金プロセスによって短期での払い戻しが実現するはずだが、航空会社は自動返金プロセスを止めたままで、旅行代理店による顧客への払い戻しができない状態が続いている。
2020年3月第3週には、フランスのOTA「MisterFly」が事態の深刻さについてIATA事務局長宛に書簡を送り、その内容がフランスの新聞L’Echoでも公表された。
MisterFlyと同様に、ECTAAも、旅行代理店はBSPにもとづいた支払い義務を果たさざるを得ない状況にあると主張。「実際問題として、航空会社や政府の決定の結果として、キャンセルされた航空券、あるいはキャンセル中の航空券を含め、すべての航空券について、IATAがBSP 支払いの期限の3月31日に固執し続けるなら、IATA代理店のみが、これからずっとBSP送金の資格を得ることになる」と話している。
これは、数十億ユーロにおよぶ負債を顧客に押し付ける可能性があることを示している。
ヨーロッパで7万社の会員を持つECTAAは、航空会社はすべての航空券を返金すべきだとしている。「航空会社だけが規則を犯していいわけがない。すへての旅行関連会社は、今後数ヶ月続くと思われる危機を生き延びるために、ともに戦わなければならない」とコメントしている。
また、ECTAAは、IATAが事態がどれほど深刻化しているか理解していないように見えるとしたうえで、欧州委員会に対して、BSP支払期限の延長と、すべての返金を補償する資金支援を求めている。
3月第4週には、ヨーロッパのデジタルトラベルを代表するEUトラベル・テックは、欧州委員会とその加盟国に対して、すべての旅行業界をホテルと航空会社を支援する対策に含めるように要求した。
※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営するニュースメディア「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」に掲載された英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
オリジナル記事:Travel intermediaries look to regulators for help with airline refunds
著者:リンダ・フォックス氏(Linda Fox)