医療従事者をはじめ、社会生活に不可欠な仕事を担う人々にホテルから支援を。新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が広まる一方、医師や看護師、介護士、スーパーのレジなど、患者を救うとともに、社会生活を維持するために必要不可欠な人々に、無償ないしは格安でホテル滞在を提供しようという動きが始まった。
手がけるのは、都内で複数ホテルを運営するJHAT(ジャパン・ホテル・アドバンスド・テクノロジーズ)。同社はまず、2020年4月16日に「医療関係従事者へのサポート支援サイト」を立ち上げ。一般から寄付を受け付けることで、運営する「ICHI HOTEL 浅草橋」に宿泊する医療従事者を支援する取り組みだ。
当初は寄付目標総額を、客室代金1100円とリネン代550円を合わせた1650円の100室・20日分、計330万円と設定していたが、4月27日現在で944名から467万8500円が集まった。すでに82名の医療従事者が個人負担することなく、無償で宿泊している。
未曾有の事態のなか、医師、看護師以外でも社会生活を支えるために感染リスクを抱えながら職務を果たしている人々がいる。JHATは4月24日、薬剤師、保育士、介護士、宅急便の配達員、スーパー勤務、公共交通の運転手など、海外では“エッセンシャルワーカー”と呼ばれる人々向けの新プランも企画。「ICI HOTEL 上野新御徒町」を対象に、2020年5月1日から6月30日のうち、30連泊以上限定で1室1泊2000円(税別)で販売する。1カ月宿泊すると、6万円になる計算だ。チェックイン時に2枚以上の名刺、社員証を提示してもらい職種を確認する。浅草橋と同じく一般からの支援も受け付けており、リネン差し入れに500円、1泊分宿泊提供に2000円など選択することができる。寄付は宿泊支援に全額利用する。
JHATは、エイチ・アイ・エス(HIS)元代表取締社長役の平林朗氏が、訪日客向けの多様な宿泊施設運営を目的に2018年6月に創業した企業。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、平林氏らをはじめとする役員会で、宿泊業界がいまできる支援の枠組みとして今回のプランを立案したという。