テーマ・エンターテイメント協会(TEA)とAECOMエコノミクス・プラクティス(Economics Practice at AECOM)がこのほど発表したレポートによると、ディズニーが世界各地で運営するパークへの来場者数が、2019年は前年並みにとどまった。このほどAP通信が報じた。
パーク側が入場者数を制限し、園内での満足度を高める方針に転換したことに加え、香港における不安定な情勢が影響した。一方、ライバルのユニバーサルスタジオ来場者数は、ハリーポッター関連のアトラクションがけん引役となり大幅増となった。
同レポートによると、2019年、世界のテーマパーク大手10社の合計来場者数は、前年比4%増の5億2100万人となった。2020年については、新型コロナウイルス感染拡大による一時閉園や、営業再開後もソーシャルディスタンス確保のため収容人数を制限していることから、例年の3分の1から半分にとどまると見込んでいる。
さらに同レポートでは「コロナ禍以前の運営状況に戻るまでには1年以上、長ければ数年かかるかもしれない。この結果、キャッシュフローが悪化したオーナー企業が、今後の投資計画を見直す動きが出てくるだろう」と指摘している。
ディズニー運営のテーマパーク合計で、2019年の来場者数は前年比1%弱の減少となったものの、同社は引き続き、来場者数ベースで世界最大だった。また「世界で最も来場者が多いパーク」の座は、2090万人(前年比0.5%増)が訪れた米フロリダ州ウォルトディズニーワールドのマジックキングダムが堅持した。続いてカリフォルニアのディズニーランド(1860万人)と東京ディズニーランド(1790万人)、さらに東京ディズニーシーと続くが、いずれも前年比は横ばいだ。
昨年は来場者数を制限することで、パーク滞在中の満足度を高める一方、入場料は値上げするというのがディズニーの戦略だが、例外は香港。同パークの来場者数が同15%減と落ち込んだのは、政治制度見直しに対する抗議活動により、観光需要が縮小したためと同レポートでは分析している。
これに対し、ディズニーとは多くの市場で競合しているユニバーサルパークス&リゾーツの総来場者数は、前年比2.3%増の5120万人となった。増加に大きく貢献したのはフロリダにあるユニバーサルのアイランド・オブ・アドベンチャーで、来場者数は同6%増。ハリーポッターをテーマにした新アトラクション登場が奏功した。
米国内向けでは、同じく新しい乗り物などに投資したシダー・フェア・エンターテイメント社で来場者数の伸びが最も大きく、前年比7.8%増。
中国勢も躍進しており、ファンタワイルド・グループが運営するパークへの総来場者数は同19.8%増、オクト・グループ傘下のパークでは同9.4%増だった。
同レポートでは、テーマパーク産業がこれまでにも健康に関する問題やセキュリティなど、様々な危機を乗り越えてきたとした上で、「パンデミックが深刻な問題となっており、今後もその影響が続くことは明らか。だが過去の歴史から分かる通り、危機が過ぎ去れば、人々の行動は、一部の例外を除き、もとに戻るだろう」との見方を示した。