旅行比較検索サービスのスカイスキャナーは、ウィズコロナ時代の旅行トレンドを分析したレポート「ニューワールド・オブ・トラベル」を発表した。これは、スカイスキャナーが持つ世界中の航空券の検索データや旅行の専門家の知見を基に、新型コロナウイルスにより大きな影響を受けた旅行業界の現在のトレンド、回復に向けた課題、旅行者の意思決定の変化や新しい旅の形などを分析したもの。
同社の航空券検索データによると、2020年3月に世界中で片道航空券の検索ボリュームが急上昇。これは、新型コロナウイルスの拡大に伴う出入国制限などが実施される前に、海外滞在者が帰国しようとした需要が増えたため。この傾向は8月も続いているが、パンデミックの間は、移動を控えて拠点を一点に定める人が増加したためと分析している。
検索全体に占める国内線と国際線の割合をみると、国内線の割合は3月以来世界各国で増えており、現在も増加傾向。事実上、海外旅行が難しい状態が続いている日本や韓国で顕著に表れ、特に7月には2019年年間平均と比較すると日本で37ポイント増、 韓国で66ポイント増と大幅な伸びとなった。
国際線については、出入国制限実施前後の帰国ラッシュのため3月と4月に一旦増加したが、その後は世界的に減少。 8月にはオーストラリアとイギリスを中心に、やや回復の兆しを見せた。
一方で、直近の旅行に対する検索ボリュームも増加。 7日以内に出発する航空券の検索数の全体に占める割合は、世界各国でロックダウンが始まる直前に急増し、その後減少したものの、多くの国で6月ごろから再び増から転じた。 7日~30日以内に出発する航空券も、3月以降世界的に増加傾向。 日本では、7日以内の航空券の割合が2019年年間の割合に比べて3月に18ポイント増と最も大きく上昇し、以降は3~14ポイント増の間で推移しいる。
直近3カ月に検索された日本国内出発の航空券の目的地を検索数の多い順にランキングすると、昨年同時期と比較してトップ5に大きな変動なく、海外ではソウルがトップで、バンコク、台北、ホノルルが続いた。また、国内では、東京がトップで、那覇、札幌、大阪、福岡の順。
透明性の高い情報の提供がカギに
このほか、スカイスキャナーは、調査結果から、出張とレジャーの境目が曖昧になり、ブレジャーやワーケーションの需要が拡大していくと分析。そのニーズを満たすクラスとして、ビジネスクラスとプレミアムエコノミークラスの間の「プレミアムエコノミープラス」が登場すると予測している。また、シンプルなビジネス構造と柔軟なネットワーク戦略を持つLCCの回復が早いとしている。
また、旅行制限の変更のニュースがすぐに検索に影響することから、旅行制限の変更を確認できるツールをはじめ、旅行の計画・予約の各段階において透明性の高い情報を提供することが重要と提言している。