小田急電鉄にクルックと共に歩むデジタル変革と、アフターコロナの観光作りを聞いてきた(PR)

新型コロナウイルスの観光業界への影響が深刻化する中、人やモノの移動に中核的な役割を果たす鉄道会社への影響もまた計り知れない。時差出勤や在宅勤務、ワーケーションなど柔軟な働き方へのシフトや、旅の個人旅行化(FIT化)という従来からあった文脈がコロナ禍で加速し、鉄道会社は自己変革の真っ只中にある。

新宿と箱根、関東圏を代表する2大観光地を沿線に抱える小田急電鉄もまた、withコロナ時代からアフターコロナまでを見据え、新しい価値の創造に向けて矢継ぎ早に手を打っている。クルックを徹底活用しオンライン・オフライン双方で海外マーケティングを展開してきた同社に、その活用法と今後の展望を聞いた。

インバウンドに続き国内旅行でも連携

インバウンド市場が視界不良に陥るなか、トラベル業界では、日本国内向け流通チャネルをいかに効率よく拡大できるかが重要な課題となっている。こうしたなか、鉄道業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)をリードする小田急電鉄と小田急トラベルは、2020年8月、旅先体験予約プラットフォームのKLOOK(クルック)で、「箱根フリーパス」の国内向けトライアル販売を開始。インバウンド向けパートナーのOTAで、国内向けにもチケット販売を始めるのはクルックが初となる。

箱根フリーパスは新宿から小田原までの小田急線往復割引に加え、箱根登山線や箱根ロープウェイ、箱根登山ケーブルカー、箱根海賊船など箱根の8つの乗り物が2〜3日間乗り放題となる上、約70の箱根の施設が割引となるお得度の高いチケットだ。販売開始から50年以上経過している超ロングセラー商品だが、「近場の自然豊かな観光地でリフレッシュしたい」というコロナ禍で高まる都心在住者のニーズにもうまくマッチしそうだ。

両社が国内旅行の需要喚起でタッグを組んだ背景には、これまでのインバウンド市場開拓における成功体験がある。

日本の鉄道会社で初めてクルックのQRコード技術を採用

クルックとの連携開始は2018年。もともと同社の訪日客向け乗車券の海外販売は、紙バウチャーのみであったが、日本の鉄道会社として初めて、クルックのプラットフォームでのQRコードスキャンシステムを導入した。小田急電鉄 観光事業開発部 関隆宏課長代理は「2013年頃から訪日観光客の急増とスマートフォンの普及があいまって、海外からスマホでチケットを購入したいというお客さまのニーズが強くなっていた」と振り返る。それに応えられるソリューションがクルックだった。

小田急電鉄のタイ駐在員事務所の初代所長として3年間駐在し、東南アジアからの訪日客誘客に取り組んできた関氏

2016年から2019年までタイに駐在していた関氏は、「現地のお客様が旅行商品を選ぶ際には、スマホでの購買、それも価格が安いところに集中していた」と指摘。現地の旅行会社が苦戦する一方で、OTAの台頭が印象的だったという。訪日客向けの「箱根フリーパス」と「箱根鎌倉パス」を販売する同社のパートナーOTAの中で、クルックはトップシェアを維持。また、集客が中華圏から東南アジア、欧米と幅広いこともクルックの特徴だ。リスク分散の観点からバランスのよい集客を目指す小田急電鉄の戦略にも合致している。

業界に先駆けてクルックを導入したということもあり、「導入前の検討やオペレーションの変更などについては数ヶ月を要した」と関氏は苦笑する。しかし、それを乗り越えて運用が落ち着くと、業務効率は飛躍的に向上していった。以前は利用者が小田急旅行センターに列を作り、オペレータがひとり一人に目的地を聞いて最適なチケットを提案するというフローだったため、混雑や接客の長時間化が避けられなかった。導入に合わせ、バウチャーの引換専用カウンター機能を拡充し、QRコードの引換え対応をすることで、待ち時間やコストが大幅に減少すると共に、CS(顧客満足)の向上にもつながった。

クルックでの「箱根フリーパス」チケット購入者は、バウチャー引換え専用カウンターでQRコードを提示するだけ

クルック導入のメリットは、現場のオペレーションだけにとどまらない。なかでも大活躍しているのが、複数のサブアカウントを作り、予約を管理・照合できるクルック独自の機能。例えば新宿窓口と小田原窓口にアカウントを分けて予約状況を確認したり、同じ新宿でもカウンター毎に分けて予約管理したりすることが可能だ。窓口毎の認証数(チケット引換数)を分析できれば、マーケティング活動やオペレーションの改善などにも役立つだろう。また、「お客さまの急な日程変更や台風などの災害時に、キャンセル対応がスムーズにできるのも便利。クルック導入でかなり楽になった」と関氏は語る。

充実した機能がありながら、「クルックのマーチャントポータルは、他社と比べてUIが格段にシンプルで使いやすい。外出先ではアプリで確認できるのも重宝している」(関氏)と、デザインやアプリの使い勝手も高く評価している。

クルックの事業者用システム「マーチャントポータル」は、充実した機能とシンプルな操作画面が特徴。外出時はアプリで確認もできる。

withコロナ時代は衛生対策が最優先

訪日旅行市場の拡大と共に、順調に集客のグローバル化を推進してきた小田急電鉄だが、コロナ禍で状況が一変している。現在は「鉄軌道事業における新型コロナウイルス感染症対策に関するガイドライン」に則った感染防止対策を徹底し、車両の窓開け運行や車内・券売機の頻繁な消毒を実施するほか、車内アナウンスやデジタルサイネージ広告ではオフピーク通勤やマスク着用を乗客に呼びかける。お客さまからは概ね理解を得られているものの、「不特定多数の人が乗り合う公共交通機関に対する潜在的な恐怖心や不安は、まだ人々のマインドに残っていると思う」とも関氏は打ち明ける。

飛行機内の空気が換気装置で数分おきに入れ替わっていることが大きく宣伝されているが、特急車両の多くでも同様の対策がとられていることは、まだ一般にあまり認知されていない。小田急電鉄のロマンスカーでも、換気装置を常に作動させ、車内の空気を入れ替えている。コロナ前から導入されていた装置だが、人々が少しずつ日常を取り戻していくためにも、こうした衛生対策のPRが重要になっている。「公共交通機関としての責任を果たしながら、取れる限りの安全衛生対策で利用者の不安払拭を図っていきたい」(関氏)。

日本でも持続可能な観光作りを

アフターコロナを見据えた戦略として関氏が描いているのが、より持続可能な観光作りだ。コロナ禍でニーズが高まった観光客の分散化やグリーンツーリズムだけでなく、「カーボンオフセット商品や、ツアー参加費用の一部が自然保護活動に寄付されるなど、サステナビリティを組み込んだ商品の造成や販売が今後は極めて重要になるだろう」と考えている。

実際、小田急電鉄では、カーボンオフセットの商品を既に販売しており、「今後、新たに環境に配慮したサステナブル旅行商品を造成・販売していく」と関氏は意気込む。このような概念が欧米豪を中心とした海外では大きく支持されているのに対し、日本市場ではこうした概念はまだまだ浸透していない。だがコロナ禍をきっかけに人々の価値観が変わるなか、今後は国内外問わず、集客ビジネスにおける重要な軸となりそうだ。

小田急トラベルとの連携で、こうした商品の造成や販売計画が今後、具体化していく一方、クルックとのパートナーシップも国内外で強化していく方針だ。日本に居住している外国人向けのプロモーションや、来年以降のインバウンド回復を見越した着地型の商品造成も検討している。「訪日外国人、在日外国人、日本人など利用者の国籍に関係なくできることはある」と関氏は力強く語る。

「クルックは東南アジアで最も影響力の強いスーパーアプリ、Grabと提携しており、国内でも大手企業と続々連携を進めている。チャネルとして使わない手はない。小田急グループだけではカバーできない世界に向けてのプロモーションをリードしてほしい(関氏)」と期待を寄せる。

鉄道業界におけるデジタル改革のけん引役となってきた小田急電鉄が目指す新しい価値観に基づいた商品造成やプロモーション展開においても、クルックのデジタル技術とグローバルネットワークが一役買いそうだ。

広告:クルック(KLOOK)

問い合わせ:reina.masumoto@klook.com

編集・記事:トラベルボイス企画部

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