東京商工リサーチは2020年度の宿泊業の倒産状況を発表した。それによると、倒産件数は前年度比71.6%増の127件となり、2013年度の101件以来7年ぶりに100件を超えた。このうち、新型コロナウイルス関連倒産は全体の53.5%にあたる68件を占めた。
負債総額は同16.1%減の662億8500万円。2年連続で前年度を下回ったが、これは2019年度に負債400億円の大型倒産が発生し、負債総額を押し上げたことの反動のため。
形態別では、「再建型」の民事再生法が同40%減の3件、会社更生法がゼロにとどまった一方、「消滅型」の破産が同101.9%増の103件と増加。取引停止処は1件だった。
原因別では、「販売不振」が同75.5%増の86件で、全体の約7割を占めた。また、資本金別では、資本金1千万円以上5千万円未満が全体の40.1%にあたる51件で最多。負債額別では、負債1億円以上5億円未満が全体の44.8%にあたる57件で最多。従業員数別では、5人未満が全体の48%あたる61件で最多となった。
このほか、地区別では、長野県と静岡県が各10件などの中部が全体の28.8%を占める29件で最多。都道府県別では、東京都が同120%増の11件と最多なった。
東京商工リサーチでは、今後について、国内外ともに依然として人の移動が制限されているため、宿泊業は経営破たんの続出を避けがたい状況との見通したうえで、金融支援や需要喚起策が求められるほか、業態転換も視野に入れた経営支援が必要との見方を示している。