全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(全旅連青年部)は2021年6月、組織内の連絡ツールを、メールからビジネス版LINEで知られる業務用コラボレーションツール「LINE WORKS」に変えた。全旅連青年部は、47都道府県にある旅館・ホテルの同業組合青年部の全国組織。45歳以下の若手経営者が、旅館・ホテル業の健全な発展に資する活動をしている。組織内のコミュニケーションの仕方を変革してから2カ月余だが、単なる連絡ツールの枠を超え、すでに様々な活動で活用している。
「グループ内の連絡を積極化したかった我々の意向と事業活動にフィットしていた」と話す同青年部長の星永重氏(藤龍館・代表取締役社長)に、業務におけるコミュニーションや情報管理の変革による成果と宿泊業界にもたらす可能性を聞いてきた。
全国組織にとっての「連絡」の重要性
全旅連青年部は、宿泊業界最大団体である全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(約1万6000施設)の下部組織。数は親会には及ばないが、全国約1100施設が加盟している。「全国的な宿泊施設の意見の吸い上げが得意な団体」(星氏)と言う通り、47都道府県の会員施設の声を拾いながら、若い世代特有のアイデアと行動力で、宿泊業界の発展に資する活動に取り組んでいる。
具体的には、各施設の切磋琢磨の場となる事業から、業界全体の問題や課題への対応、調査・提言など。昨年はコロナ禍での生き残りをかけ、GoToトラベルキャンペーンに宿泊施設の直予約も対象となるよう、行政に要請をし、実現させた。宿泊業界4団体での働きかけだが、いち早く宿泊業の惨状や地域経済への影響を取りまとめ、その実働部隊として率先して動いたのは、全旅連青年部だ。だからこそ、「同業組合の連合会なので、連絡ツールは重要なファクター」と言う星氏の言葉に、同組織にとってのコミュニケーションの重要性がうかがい知れる。
しかし、全旅連青年部では、それまで使用していた連絡ツールに、限界を感じていた。
以前は、同組織の運営者(加盟施設からの出向者)と各都道府県部長の約200人をメーリングリスト化し、メールと通常のLINEトークを併用して連絡していた。しかし、メールでは受信者の閲覧履歴が残らず、連絡内容が伝わっているのか、確認する術がなかった。必読案件については確実な情報伝達のために何度も配信・転送されることも多く、重複した内容が届くことも少なくなかった。
一方、通常のLINEでは「既読」が表示されるが、トークでファイルを送る場合、一定期間後には削除されるため、過去を遡っての確認ができない。メールでもLINEでも、連絡自体に時間を要し、デジタルツールを使いながらもアナログ的な手間が必要な不便さがあった。
宿泊業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する昨今、星氏が全旅連青年部に初めて出向した13年前と比べると、立場や役職の違いがあるとはいえ、連絡でやりとりする情報量は「1000倍くらい増えた」という。自身の宿泊施設経営と同組織の運営を掛け持ちする会員のためにも、情報管理を円滑化し、利便性を高めるような今の時代に適したコミュニケーションツールはないか――。
星氏がそんな思いを巡らせていた2021年2月、全旅連青年部の全国大会で、労務委員会がLINE WORKSを導入した宿泊施設の生産性向上の取り組み事例を発表した。星氏はその内容を見て、LINE WORKSの導入を決めた。
連絡の不便解消に加え、活動を支援する情報管理が可能に
全旅連青年部でLINE WORKSを使用するのは、以前のメーリングリスト登録者と同じ約200施設の会員だ。導入からまだ2カ月余だが、星氏は「LINE WORKSは情報の発信と管理の機能が非常に秀逸」と手ごたえを話す。
現在、最も利用する機能は、情報を投稿して利用者全員や特定のグループに共有できる「掲示板機能」だ。LINEと同様に「既読」が表示されるが、LINEでは課題だった添付ファイルの保管制限はない。同組織の情報がこの場に集約されるので、必要な時に情報や資料を確認するプラットフォームのような使い方ができる。
また、「カレンダー機能」や「アンケート機能」も同組織の活動支援に合致しており、利便性を感じている。カレンダー機能では、全国規模の行事から各都道府県単位の支部で行う行事まで、それぞれの動きを一堂に把握できる上、会議招集も一斉に行うことが可能だ。アンケート機能は、全旅連青年部の活動のベースとなる全国の会員施設の意見収集時に、そのまま利用できる。
従来、会員への意見収集を行う場合は、別のアンケート作成ツールを使用していた。設問の作成から送信、回答の収集、結果の共有までの作業は、一部アナログ作業にもなり、担当者の大きな負担となっていた。LINE WORKSなら作成から回収などが一括で行え、結果もひと目でわかるため、「緊急事態宣言の影響は?」といった緊急アンケートもタイムリーに実施できるかつ、状況の把握も早くなった。
「特に今の時代、全国的な課題を調整する必要が増している」(星氏)というなかで、施設の特性や地域性などの違いをすぐに確認できるのも、非常に便利だという。
約2カ月で会員や事業活動に表れた変化
連絡ツールに留まらず、情報管理のプラットフォームとしてLINE WORKSが活用されることで、各情報が一堂に「見える化」された。これにより、全旅連青年部の事業活動や会員の意識にも変化が生じているという。
例えば会議の開催では、LINE WORKSで事前に共有した資料に参加者全員の「既読」がついていれば、すでに参加者が資料に目を通している前提で会議を進めることができる。星氏は「効率的だし、会議の質も上がる。この差はとても大きい」と評価する。
また、LINE WORKSで会議招集をするようになってから、「参加者の数が増えた」(星氏)という。カレンダーでの予定管理に開催場所やタイムスケジュールなどの詳細情報を集約することで、会議に関する情報をすぐに把握できる。さらに会議の出席確認で参加者の顔ぶれが見えるので、「このテーマにこの人が参加するなら、この話が期待できる」という想定で参加意欲が増し、有益な会議実施に繋がっているようだ。
さらに星氏は、人材育成の効果も話す。もともと同組織は、次世代を担う経営者の育成の場としての役割もある。しかし、「(同組織に)出向した最初の頃は、何をしたらよいかわからなかったのが正直なところ」と星氏は明かす。先輩の姿を見て学んでいくスタイルで、同組織の役割や活動の意味、自分がすべきことを理解するには「1年はかかった」(星氏)。
それが、LINE WORKSでは各自が所属する委員会の情報や資料はもちろん、他の委員会の動きも見える。「ここから学べることは多い」(星氏)という点も、LINE WORKSがもたらす成果とみている。
地方創生を牽引する強い宿泊業界に
本格導入からわずか2カ月。LINE WORKSがここまで全旅連青年部に浸透した理由は、2つある。
1つはやはり、未曽有の危機対応が必要なコロナ禍であったこと。「よりタイムリーに情報交換や提供する重要性が増した。この時期にリアルタイムでコミュニケーションできるLINE WORKSを導入できたことは、すごく大きいことだった」と、星氏は話す。
2つ目は、宿泊施設でLINE WORKSの導入が進んでいたこと。よくLINE WORKSは、LINEとの使用感が近いことがスムーズに導入しやすい利点の1つとして挙げられるが、今回は全旅連青年部よりも先に、社員との情報共有や生産性向上に活用している会員が一定数あったことも奏功した。「同組織で使用する機能や使い方を自社にフィードバックできるのが、積極的に利用されている理由の1つだと思う」(星氏)と推察する。
宿泊業界は、宿泊管理システム(PMS)など、一部の業務でデジタル導入が進んでいるが、施設の規模や地域によって格差はある。全旅連青年部での取り組みで情報管理の分野もデジタル化するメリットを多くの経営者が体験すれば、各施設でも導入しやすくなる。情報共有のスキルが業界全体で上がれば、「他の業界団体にも青年部がある。異業種との情報連携を強化し、宿泊・観光産業の力を高めていきたい」(星氏)とも考える。
全旅連青年部の名刺に記載された「観光を日本の基幹産業に~Keep Trying~」は、今年4月に青年部長に就任した星氏が掲げた活動のスローガンだ。これに向け、力を入れるのは地方創生。「コロナ禍で地方創生は特に重要なこと。旅館ホテルは地域経済のハブ的な商売をしており、取引業者も多岐にわたる」と宿泊業の果たす役割を示す。
「そのためには強くならなくてはいけない」と星氏は続ける。「コロナ禍で生き残ることが先決だが、その先に向けた取り組みも同時に行う必要がある」。その1つに、情報管理の変革-LINE WORKSの導入も位置付ける。新しいことに挑戦し、それをスタンダード化して、ブラッシュアップをかけていく。その繰り返しが、業界全体を強くすると考えている。
テクノロジーの進化に伴い、観光産業の事業環境は加速度的に変化している。事業者がその変化に対応し、正しい判断をするために、適時適切な情報管理が求められている。
なお、LINE WORKSは、2021年11月11日(木)にスポンサーとして、トラベルボイスのライブイベント「トラベルボイスLIVE ―旅館・ホテルの3大課題『人手不足』 『収益性向上』 『環境変化への対応』の解決から、地域観光のこれからを考える」に出演する。星氏も出演し、宿泊事業者はもちろん、地域と一体となって観光振興に取り組む事業者も一緒に考えたいテーマでトークを展開する予定だ。
詳細は以下から閲覧できる。
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お問い合わせ:LINE WORKS問い合わせフォーム
記事:トラベルボイス企画部