2011年の発表以来、大きな進化を遂げてきたIATA(国際航空運送協会)の航空券流通データの新規格NDC「New Distribution Capability」。航空券の検索・予約・決済・発券などの処理をおこなう際、航空会社と旅行会社のシステム間でやり取りするデータの形式であり、アマデウスも航空会社や旅行会社、IATAとともに協働しながら、実用化に向けて推進してきた。
NDCによってもたらされる投資利益率(ROI)を完全に実現するには世界規模での導入が不可欠。標準化、機能整備などまだ道半ばの部分はあるが、日本でも着実に導入が進みつつある。その最新情報、旅行業界に与える影響について、旅行流通テクノロジーを提供するアマデウス社の解説をまとめた。
NDC導入で何が変わる?
観光のスマート化とともに、シンプルで透明性が高く、パーソナライズされたサービスを求めるようになった旅行者。コロナ禍では、安全・安心の観点からもその傾向はより強まっている。今や旅行者は、パーソナライズされたオファーやサービスへアクセスし、自身が選択したチャネルで比較して購入できるようになった。
こうしたニーズや環境変化に対応するのがNDCである。マーケットによって異なるが、現在、アマデウスシステムで予約する旅行会社は、エア・カナダ、エールフランスKLM、アメリカン航空、フィンエアー、カンタス航空、シンガポール航空、ユナイテッド航空のNDCコンテンツを利用できる。ほかにも、多くの航空会社が旅行者のニーズに見合ったオファーを提供するために、パーソナライゼーションツールへの大規模な投資をおこなっている。
NDC導入によって旅行・航空流通はどのように変わるのか。まずは、最新の情報を5つのポイントから探ってみよう。
1. リッチコンテンツの充実
NDCを介して、旅行会社はインタラクティブなビデオや旅行者によるレビューとともに、ダイナミックプライシング、代替オファー、アンシラリーサービス、画像、情報にアクセスすることができる。フライトのサービスやアメニティに関するさらに詳しい情報、画像やビデオを含むワンランク上のリッチコンテンツが提供できるようになることで、旅行者は自身が購入しようとしているサービスについて今まで以上により多くの情報を得たり、希望をもとに適切なオファーを受け取ったりすることができるようになる。
2. シンプルで充実したオファー
NDCを利用することにより、シンプルで効率良くコンテンツにアクセスすることができるのも魅力だ。たとえば、交換発行のフローは担当スタッフが直感的かつよりスピーディに処理できるようになり、さらに簡単に使えて利便性に優れたインターフェースを通じて、エンドユーザーである旅行者にスピーディに転送することも可能になる。
3. 特別なNDCバンドル造成
航空会社はリッチコンテンツだけでなく、自社の顧客向けに特別なNDCバンドルを造成でき、旅行会社のスタッフはこれにアクセスできるようになる。これにより、業務渡航を提供する旅行会社は自社の顧客向けにワンランク上のオーダーメードパッケージを用意できるようになる。これには、Wi-Fiやラウンジへのアクセス、すべての予約における座席選択なども含まれる。
4. ダイナミックプライシング戦略
航空会社は、よりフレキシブルな価格のオファーや価格調整をリアルタイムで実行できるため、NDCを通じたダイナミックプライシング戦略を実施できるようになる。今後、自社の中核ビジネスに直結または関連する完全に新しいコンテンツも提案できるようになるだろう。具体的には、ソーシャルディスタンス確保のために2席を予約したり、空港やデスティネーションサービスなど新しいコンテンツをさらに幅広く提案したりすることも期待できる。
5. 即時アップデート
NDCではあらゆるものがリアルタイムで提供される。最新情報や即時アップデートはもちろん、旅行会社は最新プロモーションや運賃、スケジュール更新にいたるまで刻々と変化する状況をリアルタイムで把握することができる。これは、イレギュラー発生時に極めて重要となるもの。新型コロナウイルス感染症拡大により、旅行者がロックダウンに関する規制や感染拡大状況、衛生規準の変化を逐一把握しておく必要がある今、特に重要視すべき機能ともいえる。
アマデウスが優れる理由とは?
NDCの成功には、旅行会社による導入・運用が極めて重要だが、同時に既存の旅行管理インフラに統合でき、トップクラスの顧客サービスを提供できるソリューションが必要となる。アマデウスの場合、通常の予約環境で業務をおこなう旅行会社のオペレーターに向け、NDC経由のコンテンツはすべて、他のテクノロジーをソースとするコンテンツと共に再設計された「Amadeus Travel Platform」に統合される。これにより、旅行会社はあらゆるコンテンツを統合した画面上でシームレスに比較検討したり、管理したりすることができるようになる。
また、アマデウスは、NDC予約を既存のアマデウス製品の環境下で完全に対応できるようにした。このアマデウス製品の環境下とは、PNRやキュー、フィード、サポート、監視、またミッド/バックオフィスやロボット、セキュリティ、生産性ツールのような旅行販売会社のプロセスすべてを意味する。相互運用性を兼ね備えたエンドツーエンドなフローにより、旅行会社は必要なすべてのコンテンツをはじめ、優れた効率性と機能を手にできるわけだ。
では、具体的にそのメリットを紹介しよう。
1. 購入と予約
NDCはEDIFACTやNDC、他のAPIによるあらゆるコンテンツを横断し、完全集約した検索をおこなうことができる。旅行会社はこれを活用し、任意の旅行に対し統合されたひとつの画面上で利用可能なあらゆる航空会社のフライトや関連サービスを、EDIFACT、NDC、他のAPIといったソースの種類を問わず、検索・比較して予約することができる。
また、無料/有料のアンシラリーサービスやインタラクティブなシートマップにアクセスしたり、複数の支払いオプションを提案したりすることも可能。ひとつに統合されたダッシュボードでは、旅行販売会社は検索や予約のフローにおいてアップセルをおこなったり、複数の乗客を選択したり、旅行者プロファイルをインポートすることができる。さらに、この機能によりマージンマネジャーでNDC運賃のマークアップやマージンの管理強化、実用的な分析のためのセールスレポートなど、NDCと互換性のあるその他多数のソリューションを管理できる。
2. 予約後のサービス提供
予約語のサービス提供もカギである。「Amadeus Travel Platform」は旅行会社がNDC予約を変更するために必要なあらゆる機能一式を備えている。チケットのVOIDやキャンセル、リファンドをはじめ、ボランタリー変更やインボランタリー変更の通知やキューも可能だ。加えて、旅行会社のサポートのためにアマデウスのカスタマーサポート体制も充実している。
3. エンドツーエンドの統合
アマデウスは、すべてのNDC予約が導入初日からどの旅行会社の発券後のプロセスでも自動的に処理できることの重要性を熟知している。A.I.R.に基づくフィードの提供によりミッド/バックオフィスシステムへの完全統合を図り、アクティブなフライトセグメントのあるPNRを提供して既存のプロセスを最大限に有効活用する。
このように、アマデウスは複雑な構造を一元集約することにより、旅行会社が本来の事業目標に注力できるようにサポートする。航空会社がNDC経由でコンテンツを流通させる方法には未だに多くの固有差が存在するため、標準化には多大な労力が必要。アマデウスはさまざまなNDC APIを統合してその複雑な構造を一元管理することで、旅行会社がさまざまな航空会社のNDCコンテンツやその他のコンテンツを同じ方法で検索、予約、管理できるようにしている。
また、航空会社のNDC APIバージョンマッピングでは、利用しているNDCのバージョンに依存せず、あらゆる航空会社が一貫したデータフォーマットやフローを利用できるようになる。次のステップは、旅行会社側のインターフェースに影響を与えることなく、航空会社はさらに多くの機能に対応し、より新しいNDC APIバージョンにアップグレードしてさらなる進化を遂げること。そして、これらの実現により旅行販売会社が旅行者の求めるサービスを完全に網羅できる予約を手配できるようになる、すなわち、アマデウスのシステムを利用してもらうことで、すべて実現可能になってくるわけだ。
同社によると、これは現在、アマデウスだけが提供できる価値だという。アマデウスは航空会社や旅行販売会社の戦略的目標に基づき、全体的かつさまざまなユーザーインターフェース間で横断的にパフォーマンスや拡張性、マーケットリーチ、グロバールサポートをエンドツーエンドで統合できるテクノロジープロバイダーといえる。
NDCとともに前進する未来とは?
今まさに、加速しながら進化を続けているNDC。アマデウスはNDC [X]プログラムを2018年初めに発表し、現在のアクティブパートナー数は50社を超えた。また数多くの会社がNDC対応ソリューションを初期に採用している。アマデウスではあらゆる活動において、アジャイルなアプローチで機能を追加・削除しながら、あらゆる関係者からのフィードバックを随時反映させるべく努めている。
パンデミック後の世界では、よりインタラクティブでワンランク上のリッチコンテンツに対する需要がますます高まるだろう。NDCなら必ず新しいコンテンツやより豊富な運賃、専用バンドルやサービス、そして未来に広がる可能性に満ちあふれた世界を提供できる。今すぐ、スピーディかつ簡単に無料で利用できるNDCコンテンツを検討してはいかがだろうか。
アマデウス社では、ビジネスを前進させるNDCの導入については、気軽に担当営業まで問い合わせをしてほしいとしている。また、利用できる航空会社は各マーケットによって異なるため、詳細はアマデウスまで問い合わせが必要だ。
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問合せ先:marketing.japan@amadeus.com
記事:トラベルボイス企画部