ホテルニューオータニは、新たに「サービスアパートメント事業」と結婚相談所「ホテルニューオータニ・マリッジ・コンシェルジュ」を始める。新事業を発表する記者発表会で、同ホテル代表取締役総支配人の清水肇氏は、コロナ禍で「ホテル業のビジネスモデルの定義を考え直す時期に来ている。宿泊や宴会を中心とした事業と不動産賃貸だけでは事業は厳しい。今後の持続可能な成長に向けて、大きな変革が必要」と話し、今回の新サービス立ち上げの背景を説明した。
サービスアパートメント事業は、6泊、12泊、30泊のブランのほか、2021年10月に長期滞在向けに客室を改装した「新江戸レジデンス」での30泊を用意する。第一期の期間は2022年4月1日から9月30日までで、3月3日から予約受付けを始める。
ホテルニューオータニでは、コロナ禍でのライフスタイルや働き方の変化に応じて、30連泊の「スーパーワーケーション」、6連泊~30連泊の中から選べる「新・スーパーTOKYOCATION」を発売してきた。マネージメントサービス部長の高山剛和氏によると、2021年の連泊プランの販売数は2019年比で約5倍になるなど連泊の需要は高く、もう少し気軽に使いたいという声に応えて、今回の「サービスアパートメント事業」では、ライフスタイルや予算に応じて選べるプランを提供することを決めた。
サービスアパートメント事業では、長期連泊の専用フロアを提供。洗濯脱水乾燥機、電子レンジ、トースターなど生活に最低限必要な設備を整えている。ホテルニューオータニでは、セカンドオフィス、セカンドハウス、ワーケーションなどでの利用を見込んでいるという。
また、サービスアパートメント事業の開始に合わせて、電動マイクロモビリティのシェアリングサービスを展開する「Luup」と提携。館内に都内最大となる58台分の電動キックボードのポートを設置する。Luupのコンセプトは、マイクロモビリティで「街じゅうを『駅前化』するインフラをつくる」。同社社長兼CEOの岡井大輝氏は、「電動キックボードを使えば、ホテル周辺だけでなく、銀座や新宿などにも足を伸ばすことができる。紀尾井町を東京の名所巡りのハブにしていきたい」と意気込みを示した。サービスアパートメント滞在者は滞在期間中、無料で利用することが可能だ。
出会い、成婚、その後までサポートする婚礼コンシェルジュ
一方、結婚相談所「ホテルニューオータニ・マリッジ・コンシェルジュ」は、日本結婚相談所連盟(IBJ)との協働で、3月1日に開業する。コロナ禍で、ホテルニューオータニでも婚礼が落ち込む中、1964年の開業からこれまで5万組以上の婚礼を手掛けてきた経験とさまざまなホテルのリソースを活用して、出会い、成婚、その後のライフステージまでをサポートする。
具体的には、ウェディングプランナーなどがパートナー探しを手伝い、プロフィール写真はウェデイングフォトのプロカメラマンが担当。お見合いやデートは館内のレストランを提供し、シェフやスタッフがサポートする。
IBJ社長の石坂茂氏によると、同社では昨年1万402組の成婚を創出。これは、成婚全体の2%に当たる割合だという。結婚相談所の需要はコロナ前と比較して37%増加し、20代の入会数も増えており、「今や出会いの当たり前の手段になっている」と話す。
IBJは、ホテルニューオータニに約8.7万人の会員基盤、婚活プラットフォーム、ノウハウなどを提供。婚約までをサポートし、ホテルでの結婚式につなげていく。石坂氏は「ホテルニューオータニの質の高いサポートで、成婚数の増加が期待される。結婚カップル、その家族とホテルとのつながりも深まるだろう」と協働に期待を寄せた。