ハワイ州知事、「日本との関係は特別でベスト」、日本人旅行者を待ち望む理由と、今後の観光戦略を観光局長らに聞いた

2022年4月上旬に日本旅行業協会(JATA)がハワイに派遣した視察団は、海外旅行の再開に向けた第一歩になると期待されている。現在のハワイは、米国本土からの国内観光客が急増。韓国からの観光客も増えており、ワイキキの賑わいは依然と変わらないほどにまで回復している。しかし、そこに日本人旅行者の姿はなく、日本市場の存在感が薄れつつあるのが現実だ。現地ハワイは、日本をマーケットとしてどう見ているのか。デイビッド・イゲ・ハワイ州知事とハワイ観光局(HTA)のジョン・デ・フリーズ局長兼CEOへのインタビューから探ってみた。

ハワイと日本は同じ価値観を持つ特別な関係

「ハワイと日本の関係が特別な点は、人と人とのつながりがしっかりしているところ。その関係はビジネスに限らず、個人的なレベルの交流にまで広がっている」。イゲ州知事は、日本との関係をそう表現した。そのうえで、今後、ハワイが持続可能な観光を促進していくためには「その関係がベスト」と評価する。

ハワイでは、経済的な恩恵だけでなく、旅行者の質も重視。イゲ州知事は「日本人は、ハワイが長年培ってきた価値観に非常に近いものを持っている」として、日本人旅行者がスタンダードになることが、ハワイの持続可能な観光の成長につながるとの考えを示した。

「日本人に早く戻ってきて欲しい」とイゲ州知事

HTAのデ・フリーズ局長兼CEOも「日本とハワイの共通の価値観は、お互いを思いやること。日本人も先祖を大切し、神聖な場所に対する信仰を持っている。そこが、ハワイにとって、日本が他の市場とは違う点だ」と話す。

HTAおよびハワイ州観光局(HTJ)が、レスポンシブルツーリズム(責任ある観光)を推進していくうえで、強調しているのが「マラマ(Malama)」という考え方。「相手を思いやる」という意味だ。「日本人は、土地、環境、自然を守ることを非常によく理解しており、ハワイに来てもハワイの文化、伝統、環境などを尊重してくれる」とイゲ州知事。日本は、経済性とマラマのバランスがいいマーケットであるという認識だ。

デ・フリーズ局長兼CEOも「ハワイの地域社会が求めているものはバランス」と話す。コロナ禍の2年間で、観光産業が主軸のハワイ経済は壊滅的な打撃を受けた。観光客が激減したことで、「元の島が戻ってきた」と歓迎する現地の人たちもいたようだが、地域経済の現実は厳しい。「ベストなバランスを見つける方法は必ずある。それをハワイで実現したい」と未来を見据える。

日本市場の復活を待ち望むハワイ

その日本市場の復活をハワイ側は待ち望んでいる。

コロナ前の2019年は150万人を超えていた日本人渡航者数は、2021年には約2万4000人にまで落ち込んだ。それでも、デ・フリーズ局長兼CEOは「滞在期間が伸び、税収も我々の予想以上に多かった」と日本市場を高く評価した。

今後については、日本の水際対策の緩和に注目。4月1日から日本の感染症危険度レベルが3から2に引き下げられたことは、「ハワイ旅行を計画するインセンティブになるのではないか」との考えを示す。JATAは、HTAとの会談の席で、今夏の半ばくらいからハワイ旅行が本格的に始動し、2023年には2019年レベルの回復が可能との予想を示したが、デ・フリーズ局長兼CEOは「非常にうれしい驚き」と、その予測を好意的に受け取った。

「旅行者にもクレアナ(責任・役割)が必要」とデ・フリーズ局長兼CEO

一方、HTJのミツエ・ヴァーレイ日本支局長は、日本市場はリピーター率が高いことから、最初はハワイ好きの個人旅行リピーターから戻ってくると見ている。そのうえで、マラマを理解するリピーターを最初のアンバサダーとして、「レスポンシブルツーリズム」あるいは「リジェネラティブツーリズム(再生型観光)」を日本市場で啓蒙していく考えを示した。

今夏に向けては、「ハワイなら安心」というブランディングを進めめていくと同時に、旅行会社に対してハワイの観光戦略を反映した商品造成を促していく。まず期待しているのは、ウェディング、ハネムーン、記念旅行などロマンスマーケットの復活。その後、年末から年始にかけて、ファミリー市場の回復を目論む。

カラカウア通りの人気アイスクリーム屋に長い行列。賑わいは戻っている。

DXで観光客の利便性向上と地域課題の解決を

このほか、デ・フリーズ局長兼CEOは、HTAのデジタル戦略についても言及。「日々めまぐるしく情報が変わるなかで、正しい最新情報を伝えることが我々の責任となる」として、デジタルによる発信力を強化していく考えを示すとともに、ハワイ州、ホノルル市郡、連邦政府の個別のシステムを統合する仕組みの構築にも意欲を示した。

また、デステネーション・マネージメントの点からもテクノロジーを重視。他部署と連携して、「安全、公衆衛生、自然保護などを連携させたデジタルシステムを構築していきたい」とした。

さらに、予約やチケット購入のデジタル化について、「例えば、(入場制限のある)ハナウマ湾に入場できないと事前に分かれば、今から行こうと思う観光客はいない。そういう仕組みを構築できれば、観光客も地域社会もインテリジェントな選択が可能になる」として、観光客の利便性を高めるととともに、地域の課題解決にもつながるDXを進めていく方向性も示した。

「観光を再生をしていくなかで、ハワイに来る人には特別な時間を過ごしてもらいたい。それと同時に、ハワイの地域コミュニティに対してはマラマの気持ちを持ってほしい」というイゲ州知事の希望を叶えるためにも、DXはハワイの観光の未来にとって不可欠なものになりそうだ。

トラベルジャーナリスト 山田友樹

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