フランス観光開発機構(アトゥ・フランス)が主催する日本の旅行会社向けワークショップ「SAKIDORI FRANCE」が3年ぶりに対面形式で開催された。23社・団体が出展。フランスからは19社・団体20人が来日し、初日のプログラムには日本の旅行会社も含めて計106人が来場した。フランスからの参加者は、大阪でも旅行会社を訪問する予定だ。
同機構のフレデリック・マゼンク在日代表は、「コロナ前に比べると参加人数は少ないものの、現状を考えると多く集まった」と評価。特にフランスからはビザ取得などの要件がありながらも来日したことに「それだけ日本市場を大切に考えている証」と話した。
マゼンク氏によると、フランスからの参加企業・団体は「今夏ではなく、2022年後半から2023年からの回復を期待している」と明かす。今回のSAKIDORI FRANCEへの参加は、先行投資の意味があり、今後のマーケティングやプロモーション戦略を立てていくための情報収集の機会と捉えているという。
フランスでは来年ラグビーワールドカップ、2024年にはパリ五輪と大型スポーツイベントが続くことから、会場となる都市を中心に観光プロモーションを強化していく考え。さらに、2025年の大阪・関西万博では、フランスもパビリオンを出展することから、「そのなかで、フランス観光開発機構としても何ができるか考えていきたい」と話した。
インバウンド旅行者数では世界1位のフランスでは、コロナ禍を経て、旅行者数よりも現地消費額に重きを置く方針に変化しており、そのなかで「日本人は優良な旅行者」(マゼンク氏)と認識されているという。日本人の旅行需要は1年を通じて平準化されており、フランス文化などに理解のある旅行者が多い。コロナ禍でも個人旅行者はフランスを訪れており、今年4月と5月の日本人旅行者による現地消費額は、前年と旅行者数に変化がないなかで、12%増加したという。
ホテル価格などの高騰によって旅費が増加している側面があるが、その状況でもフランスを訪れる旅行者はコアなフランスファン。マゼンク氏も「(回復に向けては)ファンベースを持っていることが鍵になるだろう」との考えを示す。
エールフランスが9月から羽田/パリ線を再開
また、マゼンク氏は、今後の市場回復に向けては、航空座席の供給量が重要になってくるとの認識も示す。今年9月7日にはエールフランスが羽田/パリ線を週3便で再開。現行の成田/パリ線(9月1日からは週4便)と関西/パリ線(週3便)、日系航空会社による運航も併せて、日仏間の供給量が増えることになる。さらに、ニューカレドニアへ飛ぶエアカランが7月1日からヌメア(ニューカレドニア)/シンガポール線に就航するため、現在の成田経由ヌメア/パリ線の需要が分散すると見込まれる。このことから、日仏路線の座席に余裕が出てくると期待をかける。
加えて、ウクライナ危機によって、日欧路線では飛行ルートが変更され、長時間飛行が余儀なくされているなか、「トルコや中東経由の路線の需要が高まる可能性がある」と見る。
運賃や燃油サーチャージの高騰については、「今年は、貯蓄していたお金を旅行に使う需要はあるだろう。来年以降に懸念が残る」と話した。
このほか、今後の商品造成については、欧州でも各国で水際対策や国内規制が異なるため、「欧州周遊というよりも、フランス一ヵ国のモノデスティネーションでの造成が増えるのではないか」と予想した。