サウジアラビアから観光ミッションが来日、日本の旅行会社とリアル商談会、大規模な観光開発プロジェクトなど紹介

サウジアラビアから来日した現地サプライヤーとの商談会の様子

サウジアラビア政府観光局が、このほど大阪と東京で第一回となる旅行業界向けセミナー・商談会を開催した。現地からは航空会社やクルーズ会社・ホテルなど13社が来日。日本の旅行業界との積極的な情報交換や商談をおこなった。

サウジアラビアは、2019年9月より日本を含む49か国への観光ビザ発行を開始。現在は「2030年までに外国人観光客1億人」の目標をかかげて世界各地での誘客プロモーションに力を入れている。2021年9月にはサウジアラビア政府観光局日本支局が開局し、日本人旅行者の誘致にも本腰を入れ始めた。

2022年7月1日の東京開催のセミナー冒頭では、サウジアラビア政府観光局日本支局長に就任した小早川薫氏が、開局後、初めての日本でのイベントをリアル開催できた喜びを表明。「日本支局の開局を機に、まだ日本ではあまり知られていないサウジアラビアの魅力を、旅行会社・メディアの皆さまと積極的に伝えていきたい」と意気込んだ。

現地から来日したサウジアラビア政府観光局アジアパシフィック担当最高マーケット責任者のアルハサン・アルダッバグ氏は、「観光にこれだけ多額の投資をしている国は他にない。サウジアラビアが観光業に邁進していく姿勢を伝えようと、今回イベントを企画し来日した」と力を込めた。

同国は、観光を重要な産業と位置付け、観光分野の開発プロジェクトや人材育成・各国でのプロモーション等に80億ドルを投資する計画がある。また、「日本は我々にとって重要なマーケット。今後は世界中からの観光誘致に力を入れるが、アニメなど国民のあいだで文化的に親しみのある日本の皆さんは、国内でも特に歓迎している」と述べた。今後は日本国内のメディアやインフルエンサー、旅行会社と連携しながら積極的にプロモーションを展開していく方針だ。

写真左:サウジアラビア政府観光局 アジアパシフィック担当最高マーケット責任者 アルハサン・アルダッバグ氏、写真右:サウジアラビア政府観光局 日本支局長 小早川 薫氏

観光ビザ解禁でインバウンド誘致に本腰

セミナーでは、サウジアラビア政府観光局事業開発マネージャーの岡田有希帆氏が、サウジアラビアの今後のビジョンと、注目のデスティネーションを紹介した。

サウジアラビアは、脱・石油依存と産業の多様化を目指す「サウジビジョン2030」を掲げ、現在、観光・医療・農業等の分野で抜本的な改革を進めている。その重点分野のひとつである観光では、2030年までに国内総生産の10%までの拡大を目標に、今後、主にレジャー・MICE・巡礼客の3カテゴリーに注力していく。

その第一歩として、2019年9月には、日本を含む49か国を対象にオンラインで申請可能な観光ビザ(E-ビザ)の発行を開始。E-ビザは1年間有効の複数回入国可能、90日まで滞在ができる。またインバウンド本格誘致にむけて各種ルールの緩和がすすみ、たとえば女性観光客の黒のアバヤ(伝統衣装)着用義務は現在撤廃されているという。

サウジアラビア各地の観光スポット

注目の観光スポット・大規模観光プロジェクトも

サウジアラビアならではの体験ができる注目スポットとしては、首都リヤド、砂漠地帯の都市アルーラ、紅海沿岸のジェッダの三都市を紹介。政治・経済の中心である首都リヤドは、高層ビルの立ち並ぶ近代都市でありながら、古代の建造物やスーク(伝統的な地元の市場)などの見所が多く、またリヤドにあるサウジアラビア国立博物館では何千年にもわたるアラビアの歴史を記録したコレクションを見学できる。

また、リヤドから飛行機で約1時間半の北西部・砂漠地帯にあるアルウラーでは、ユネスコ世界遺産に登録されているヘグラ遺跡や、砂漠のなかで満点の星空を楽しめるグランピング施設を紹介。また、古くから交易の港として栄えた紅海沿岸のジェッダでは、旧市街の散策や、ジュゴンやサンゴが生息する生態系の豊かな紅海で様々なマリンアクティビティが楽しめるという。

また「サウジビジョン2030」に沿って、「ギガプロジェクト」と呼ばれる大規模開発プロジェクトが現在国内で複数進行している。そのなかの観光関連のひとつである「紅海プロジェクト」は、再生型観光(リジェネラティブ・ツーリズム)を掲げ、紅海沿岸の手つかずの自然の保護を目指すリゾート開発プロジェクト。100%再生可能なエネルギーを使用するなど「持続可能性(サステナビリティ)」を軸に据え、2022年末までに一部で観光客の受け入れを開始予定であることも紹介された。

さらに、サウジアラビアは国際イベントの誘致にも力を入れており、2021年には紅海沿岸ジェッダでF1 Grand Prixを初開催。今後の継続的な開催に向け、リヤド郊外に新たなF1サーキットを開発中だ。

今年3月に自身もサウジアラビアを訪問したという岡田氏は、「サウジアラビアは、人々の温かな心に触れられる国。 治安もよく、女子旅のデスティネーションとしてもぜひおすすめしたい」と述べた。

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