ロサンゼルス観光局、日本向けプロモーションを本格化、航空便は7社が復活、LAならではのカルチャー発信

米・ロサンゼルス観光局のチーフ・ステークホルダー・オフィサーのパティ・マックジェネット氏が日本向け観光プロモーションのために来日し、記者会見を実施した。新型コロナウイルスによる約2年半の停滞から動き出したロサンゼルスの現状とともに、観光業再開に向けて日本市場の重要性をあらためて強調。復活には日本の旅行会社による商品造成が不可欠とした。

今秋は日本から7社が運航

マックジェネット氏は「コロナ禍を経て米国本土から来日した観光ミッションは、ロサンゼルスが初めて。日本はロサンゼルスの観光業にとって長年の重要なビジネスパートナーであり、観光業の再開・復活を強く希望している」と述べた。

コロナ禍前の2019年にロサンゼルスを訪れた観光客は約5000万人。そのうち海外からの観光客は約750万人で、主要市場はカナダ、メキシコの周辺諸国、長距離では英国、オーストラリア、次いでアジアでは日本、韓国だった。コロナ禍による規制が徐々に緩和されるなか、カナダやメキシコなど、近隣の海外市場は比較的早く戻りはじめ、現在では通常通りの観光がおこなわれているという。

日本市場については2022年4月頃から徐々に動きが見られ、「留学生に続き、レジャー市場は個人旅行を中心としたコアなロサンゼルスファンが戻り始めた。ロサンゼルスは他国・地域に比べ、安全・衛生の面を考慮しながら比較的ゆっくりと観光を再開したため、日本人客も安心して訪れることができるだろう」(マックジェネット氏)。

ロサンゼルス空港の国際便もパンデミック前の75%程度まで復活。東京/ロサンゼルスを結ぶ航空便も秋頃には運休からの再開を含め、日系・米系を中心に7社の運航が見込まれている。「ロサンゼルス国際空港にはアジアのゲートウェイとしての位置づけもある。そういう意味でも、日本市場は非常に重要」(マックジェネット氏)。輸送力の強化による市場復活に向け、現地観光関係者も航空会社に対してサポートをおこなっていくとしている。

同局は、観光ビジネスの復活に旅行会社の存在が必須とみている。そのため、旅行業者向け日本語オンライントレーニングプログラム「LAインサイダー」を2023年にリニューアルする。今後、日本語版ニュースレターも再開し、日本語ウェブサイトも定期的にアップデートしていく。さらに、2024年は、USトラベル・アソシエーション(USTA)主催の旅行商談会「IPW」の開催地がロサンゼルスであることから、マックジェネット氏は「多くの旅行会社に来てもらい、日本旅行業界との関係をより一層密に築いていきたい」と話す。

左:ロサンゼルス観光局 チーフ・ステークホルダー・オフィサー パティ・マックジェネット氏 右:コネクトワールドワイド・ジャパン マージョリー・L・デューイ氏

LAならではのカルチャーが続々誕生

日本人観光客の誘客に向け、重要になってくるのが新しい観光素材だ。

ロサンゼルスはパフォーミングアーツなどの劇場や美術館、博物館数が全米1位。カルチャー・シティとしてのロサンゼルスの魅力をこれまで以上に発信していく。

注目の観光素材として挙げたのは、2021年9月にオープンした体験型の「アカデミー映画博物館」、2023年末頃に開館予定で映画監督のジョージ・ルーカス自身がプロデュースする「ルーカス・ミュージアム・オブ・ナラティブ・アート」。国際的イベントでも、2026年FIFAワールド杯、2028年オリンピック・パラリンピックの開催が予定されるなど、ロサンゼルスの注目度の高まりが期待される。

インフラ面では、「コンラッド・ロサンゼルス」や「フェアモント・センチュリー・プラザ」など新規ホテルの開設も含め、客室数がパンデミック以来約2年半で2100室増加。持続可能な社会を目指し、地下鉄をはじめとする公共交通機関の整備や、ロサンゼルス国際空港の自動ピープルムーバー導入をはじめとしたリノベーションも進められており、マックジェネット氏も「今後3年ほどで改修を終える予定。空港や街のアクセスなども含め、より利便性が高まるだろう」と期待を寄せる。

なお、会見後に行われたレセプションではロサンゼルス市長のエリック・ガルセッティ氏も登壇。かつて日本に留学したことのある経験を述べたうえで「日本は重要なビジネスパートナー。これからも、ともに協力して未来を築いていきたい」と語った。

ロサンゼルス市長 エリック・ガルセッティ氏

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