タイの観光トップが来日、完全開国でインバウンド市場の復活へ、日本人旅行者の獲得狙う取り組みを聞いた

タイ国政府観光庁(TAT)のユッタサック・スパソーン総裁が、「ツーリズムEXPOジャパン2022」に合わせて来日し、今後の日本市場への期待や訴求ポイントを語った。

タイは段階的に水際対策を緩和。2021年7月にはいち早く外国人旅行者を隔離免除で受け入れ始め、2022年7月には入国に求められていた許可申請システム「Thailand Pass」も撤廃。国境を完全に開き、本格的にインバンド市場の復活に向けて動き出している。

2022年1月から9月までのタイへの日本人渡航者数は約16万人で、全体では12位にとどまっている。その現状のなか、ユッタサック総裁は「2023年はコロナ前の70%に当たる125万人の日本人渡航者数を目指す」と明かした。インバウンド市場全体では、外国人旅行者数2000万人(2019年は約3980万人)、観光収入はコロナ前の80%に当たる2兆4000億バーツ(約9.1兆円)を目標に掲げる。

日本市場では、旅行会社7社との協業で「今こそ、タイへ」キャンペーンを展開。ターゲットを「法人旅行」「ラグジュアリーなアクティブシニア」「女性」「若者層」「個人旅行」と設定し、初めて訪れる旅行者の比率をコロナ前の23%から30%に引き上げる取り組みも進める。

訴求ポイントとしては「NFT」を重視。ユッタサック総裁は「自然(N)の大切さを感じ、ストリートから高級グルメまでタイのフード(F)を楽しんでもらい、各地のタイ(T)らしい生活スタイルに触れてもらいたい」と説明した。

ユッタサック総裁「日本は引き続き重要なマーケット」。

課題は現地消費額引き上げ、質の維持・向上を重視

このほか、ユッタサック総裁は今後の日本市場の課題も言及。コロナ前、日本人の1日あたりの消費額は6400バーツ(約2万4000円)、平均滞在日数は9.79日となっているが、「消費額は、他のアジア諸国と比較すると低い水準」と指摘したうえで、「今後はレジャー旅行者の滞在日数を伸ばし、ショッピングなどで支出を増えしてもらう取り組みを進めていきたい」と意欲を示した。

そのうえで、設定ターゲットの中でも女性と若者層に注目。女性については、母娘旅などを訴求していくほか、ファッションや瞑想体験など女性の興味を喚起するブランディングを進める。また、若者層については、ゴルフやダイビングなどスポーツツーリズムの露出も強めていきたい考えだ。

また、コロナ禍で流出した観光人材についても説明。「今後急激に観光需要が回復すると、ホテル、ガイド、レストランなどでの人材確保は課題になる。政府もそれを認識しており、今後対策をとっていく」と話し、TATとしても新規雇用や職場復帰を支援していく考えを示した。

加えて、回復に向けては「100室を無理に埋めるのではなく、70室でもクオリティの高いサービスを提供することが必要になる」と話し、観光の質の維持と向上を重視していく姿勢を示した。

※バーツ円換算は1バーツ3.8円でトラベルボイス編集部が算出

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