JTB、シンガポール商品の販促強化、海外旅行回復の足掛かりに、観光局との協力でシニアやファミリーの取り込みに注力

JTBは、シンガポール政府観光局(STB)と協力し、シンガポール商品の販売を強化する。店頭販売の「ルックJTB MySTYLE」と直接販売の「JTB旅物語」での企画商品を拡充し、2023年度で2万1000人の総客を目指す。JTBは、シンガボールを、欧州、グアム、台湾、オーストラリアと共に重点取組方面を位置付けており、シンガポールの販売強化を通じて、海外旅行市場の回復を加速させていきたい考えだ。

ルックJTB MySTYLEではファミリー層、旅物語ではSTBの戦略に合わせてシニア層の取り込みを図る。このほど開催した販売拡大へのキックオフイベントでJTB執行役員仕入商品事業部長の藤原卓行氏は、「高単価需要が高い現状で、クリーンなイメージがあり、ホテルや食など総合的な質の高さがあるシンガポールは、現在の海外旅行の志向にマッチしている」と説明。そのうえで、2017年にSTBとMOUを結び「グローバルデステイネーションキャンペーン」を展開した実績を「レカジーとして、販売を強化していく」と意気込みを示した。

JTBの取り組みを説明する藤原氏STB北アジア局長のセリーン・タン氏は「JTBと共に日本市場の回復を加速させていきたい。今が、本格的なキャンペーンを開始する絶好のタイミング」と話し、今夏に向けた需要の回復に期待感を示した。

STBによると、2023年1月~4月のシンガポールへの外国人旅行者数は2019年比64%。2023年を通じては同74%までの回復を予想しているという。日本人旅行者数については、同38.4%にとどまっているものの、海外旅行者数全体の回復率を上回った。

日本/シンガポール間の直行便運航数では、2019年7月との比較で、2023年5月は便数で76%、座席供給数で79%まで回復。しかし、現状、シンガポールから日本へのインバウンド需要が急速に回復していることから、「日本アウトの座席が取りにくい状況で、運賃も高くなっている」(STB)課題もあるという。

STBとしては、新しい観光コンテンツを積極的に紹介していくと共に、個人旅行者向けに新たに立ち上げた「シンガポール・リワード」プログラムの訴求を強めていきたい考え。このプログラムは、約40の新しい体験または一般にはあまり知られていない「隠れた名所」でのコンテンツを提案し、その中から興味のある体験を無料で1回提供するもので、2023年末まで継続する。

JTBとの協力の意義を強調するタン氏募集型企画が手配旅行を上回るように

JTBの藤原氏によると、水際対策の大幅な緩和から新型コロナの5類への移行を受けて、海外旅行の受注は緩やかに回復から確実な回復基調に変化しているという。

コロナ禍では手配旅行が中心だったが、2月以降はパッケージツアー(募集型企画旅行)の販売も増加。直近では手配旅行を上回る受注があることから、藤原氏は「海外旅行の底堅い回復を実感している」と話し、今夏以降の本格的な回復に向けた手応えを示した。

JTBでは5月から今夏の海外旅行需要喚起を目的にテレビCMの放映を開始。旅行機運の醸成と販売促進に向けて、夏旅キャンペーンを展開しているところだ。シンガポールについては、主に女性へのアプローチ強化として、STBと共にJTB公式YouTubeや各種メディアを通じて情報を発信している。

JTBでは、2023年は消費者の海外旅行に対する感情も大きく変化していく年と想定。各種取り組みを強化することで、「海外旅行本格復活の年」にしていく。

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