ブリティシュ・エアウェイズのコルム・レイシーCCO(最高商務責任者)がこのほど来日し、今年で就航75周年を迎えた日英路線の概況と、持続可能な航空燃料(SAF)導入などの取り組みについて語った。
同社ではロンドン(ヒースロー)/東京(羽田)路線の運航規模は、コロナ以前の規模へと段階的に戻している。2023年夏スケジュールは週11便だったが、2024年夏スケジュールから週14便のダブルデイリー体制での運航を再開する。10月31日からの冬スケジュールは週10便。使用機材はB777および787ドリームライナー。
日本市場についてレイシー氏は、「レジャー需要の戻りは力強いが、業務渡航需要はまだ回復途上にある。とはいえ、出張客によるビジネスクラス利用は、毎月、前月比プラスで伸びている」と話し、この傾向が続くとの見方だ。
羽田路線でのSAF使用率は10%に
今後の戦略については、「ブリティッシュ・エアウェイズが進めている全ての活動の中心」としてレイシーCCOが挙げたのは、持続可能な航空産業を目指した取り組みだ。
同社では「2050年までのできるだけ早い段階で、排出ガスの実質ゼロ化」を目標に、2年前から「BAベターワールド」をスタート。その中核として、持続可能な航空燃料(SAF)の利用拡大を進めている。レイシーCCOは「すでにヒースロー空港発の全フライトでSAFを利用している。同時に、SAFの供給が需要に追いつくように、親会社のIAGが製造事業者などへの投資も行っている」と話した。
ヒースロー/羽田線では、「SAFの利用シェアは現在10%ほど。これを50%まで拡大することが当面の目標」と同氏。達成後は、SAF対応エンジンへの刷新などが課題になるとしている。
また、より長期的なサステナビリティ戦略として、水素燃料や電気航空機など、様々な可能性も視野に入れているという。燃料以外にも、飛行ルートの効率化やプラスティック利用の削減、ヒースロー空港での電気自動車利用などを進めている。
同社では、気候変動テック企業のCHOOOSEと連携し、ポータルサイト「CO2LLABORATE」も展開している。同サイトでは、利用客がブリティッシュ・エアウェイズ便の排出ガス量を確認できるほか、二酸化炭素の吸収につながるマングローブなどの植物育成から気候変動テックの技術まで、様々な活動を紹介している。