ニューヨーク市では大規模な観光開発が続々、消費額高い日本市場へのプロモーションも強化

ニューヨーク市観光会議局のメンバーが2023年11月に来日し、観光業界パートナー10社とともに、日本の旅行業界やメディアに対して現地の観光開発の状況や最新情報を提供した。

同局によると、2022年にニューヨーク市を訪れた総旅行者数は5670万人。2023年はそれを上回る5960万人と推計している(うち国内旅行者4880万人、海外旅行者1080万人)。同局グローバル・コミュニケーションズ エグゼクティブ・バイスプレジデントのティファニー・タウンゼント氏は「海外からの旅行者数は2019年の85%まで回復しており、ニューヨーク市にとって非常に重要な存在だ」と順調な回復をアピールした。

大規模なインフラ投資・開発を継続、ホテル開業も続々

同局ツーリズム・マーケティング・ディベロップメント シニア・バイスプレジデントのマキコ・マツダ ヒーリー氏は、「空港体験の大幅な向上に加え、ブルックリンとマンハッタンを結ぶニューヨーク・ウォータータクシーにクリーンな水上フェリーが登場するなど、持続可能なインフラ整備が進んでいる」と交通インフラの充実ぶりを説明。

国際空港における大型投資・開発も継続されており、ラガーディア空港では80億ドル規模のリニューアル工事が進行中。交通アクセスとファーストクラス乗客向け設備を拡充、集約されたメイン・ターミナルに生まれ変わる予定だ。また、ジョン・F・ケネディ国際空港で1億2500億万ドルを費やした商業再開発構想がスタート。ニューアーク・リバティ国際空港では年初に27億ドルを投じたターミナルAのリニューアルが完了し、今後は交通渋滞を緩和する2.5マイルの高架鉄道システムの建設に着手する予定だ。

また、アマン、Vocoをはじめとした高級ホテルも続々と登場。客室数は今後3年間で1万室ほど増加する予定だという。2023年は「Tempo by Hilton Times Square」などが開業し、2024年にも「The Warren Street Hotel」がオープンする。ニューヨーク市全域でヒップホップ50周年イベントがおこなわれるほか、アート&カルチャーのイベントも数多く開催される予定だ。

日本人客の本格回復は2026年と予測

日本人旅行者については、2023年は前年比2倍以上の19万7000人に達すると予測。パンデミック以前のレベルに戻るのは2026年とみている。一方で、2022年の日本人旅行者の平均滞在日数は12日、旅行者一人あたりの平均消費額は2500ドル(日本円で37万5000円)で、高級レストランや体験を好む傾向があるという。こうしたことから、回復が緩やかであっても同局では日本市場を重要視。プロモーション活動を強化する見解を示した。

日本人旅行者は旅行会社を介した予約をする旅行者が多いのも特徴で、同局は旅行業界関係者向け支援も強化。日本語字幕付きの無料オンラインツール「NYC Travel Trade Academy」を開始した。行政区ごとの豊富な観光情報を旅程に組み込んでもらうのがねらいだ。

同局では、東京都と相互に観光プロモーションを行うパートナーシップも更新。その一環として11月6~19日の期間中、都営地下鉄の車内及び都営バスの停留所にデジタル広告を掲出し、ニューヨーク市のプロモーションに加え、JALのニューヨーク/羽田線の就航も紹介した。また、ニューヨーク市内では、2023年12月11日から2024年1月7日まで東京のプロモーションを実施。市内の公共Wi-Fiステーションやバスの停留所に東京のデジタル広告を掲出するほか、オンラインやSNSのプロモーションも予定するなど、双方向での人流拡大を図る。

ツーリズム・マーケティング・ディベロップメント シニア・バイスプレジデントのマキコ・マツダ ヒーリー氏

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