NECソリューションイノベータ イノベーション執行役員常務の村井暁氏が、2024年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
村井氏は、観光の語源は「地域の光を観る」ことであり、日本の各地域には当人たちも価値に気づいていないような「光源」が多くあると指摘。地域を愛し、地域の全体最適を考え、自分たちの利益は後からついてくるものと利他の精神で動く志あるプレイヤーの動きを支え、加速させるために観光DXを推進していることを強調した。
そのうえで、地域の当事者にとっての当たり前の日常の営みを、無理なく持続可能な形で光として輝かせ、「個別事業者」「取りまとめ事業者」「地域住民」「観光客」「行政」にとってよい、「三方よし」ならず「五方よし」が実現する社会になることが、同社の願いであると表明している。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
年頭所感
新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
観光業界にとって長く厳しい時期が終わり、人が移動し、観光を楽しむ日常の風景が日本各地から届くようになりました。
その一方で、縮小せざるを得なかった設備やスタッフの影響から、押し寄せる観光客に対応しきれないとの声、また、人は訪れるもののお金が循環せず、地域や自然環境の劣化が進み、長期的な持続性に疑念を持たれるような声など、様々な声も聞こえてきます。
従来の延長線上で進むのか?それとも何か根本的な変化を起こすのか?さまざまな視点が入り混じる現在の状況だからこそ、今年は日本の観光が目指す姿を、ご関係の皆様とともに描く年にしたいと考えています。
弊社のこれまでの活動で、未来の兆しは見え始めています。観光の語源は「地域の光を観ること」です。それは、集客力のある有名な観光スポットだけを指すのではなく、地元に愛される居酒屋、名物マスターのいる喫茶店、知る人ぞ知る絶景スポット、規模は小さくとも連綿とつながる伝統的な祭りなどで、当人たちも価値に気づいていないような「光源」が日本の各地域には多くあります。観光に訪れる人にとっても、偶然訪れた居酒屋のカウンターで、店主と交わした会話が旅の思い出になったりすることも。ご経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
では、それらの光源を輝かせるキープレーヤーは誰か。OTAやSNSを駆使し、個別事業者の自助努力で集客をするのは有効なアプローチであることに変わりはありません。ただ、そのアプローチだと、力のある地域や事業者がますます強くなる構造が強化されます。そのような中で、私たちが着目しているのは、地域を愛し、地域の全体最適を考え、自分たちの利益は後からついてくるものと利他の精神で動く志あるプレイヤーの動きです。それは例えば、二次交通の担い手であったり、観光協会であったり、行政やDMOであったりと、地域により様々です。共通しているのは、まるで共助の担い手のように立ち振る舞い、地域の光を取りまとめ、編集し、価値として観光客に届けるような動きをされていることです。
こうした動きを支え、加速させるのが、NECソリューションイノベータが本丸としている観光DXです。例えば、インターネット上に、地域をキュレーションする集客サイトを作り、ツアーの在庫管理から決済、個別事業者への支払いまで、一気通貫で対応出来るプラットフォームを構築、エリア全体のDXを推進しています。この仕組みにより、地域に愛される居酒屋さんが「この日は、予約が少ないから、2組だけ二次交通経由の観光客を受け入れよう」と判断し、リアルタイムに在庫状況を変動させ予約を受けられるようになります。また、決済は事前に済ませているので無断キャンセルの心配もなく安心して食材の仕入れも出来る。そのような世界観が訪れ始めています。
このプラットフォームを通して、地域の当事者にとっての当たり前の日常の営みを、無理なく持続可能な形で光として輝かせ、「個別事業者」「取りまとめ事業者(二次交通や観光協会など)」「地域住民」「観光客」「行政」にとって良い、「三方よし」ならず「五方よし」が実現する社会になることが、私たちの願いです。
コロナ禍、オーバーツーリズムの先にある私たちらしいカンコウ像を、皆様とともに描く年になることを祈念し、年頭の所感とさせていただきます。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
NECソリューションイノベータ株式会社
執行役員常務 村井 暁