日本空港ビルデングは2013 年度から 2015 年度までの 3 年間を対象とした中期経営計画を策定した。「羽田空港のさらなる進化への取組みと新しい空港運営の未来に向けた事業基盤の強化」をテーマとして掲げ、事業戦略として羽田国際化への対応(内際一体化の強化)、 新しい空港運営の未来の構築、グループ事業収益性の改善に取り組んでいく。
具体的施策として、まず羽田国際化への対応では、内際・際内乗り継ぎ施設、ホテル施設などのサービスの充実を図るとともに、魅力ある商業施設の拡張によって集客力の向上と受託業務の拡大を目指す。新しい空港運営の未来の構築では、利便性の質的向上と航空会社・旅客への還元を強化する目的で、ターミナル1のリニューアル、PBB・防犯・フライトインフォメーションなどの設備更新、震災対策、ターミナル運営コストの削減(施設使用料の低廉化)、賃料体系の見直しによる航空会社の負担軽減に努めていく。また、新しい空港価値の創造と非航空系収益の拡大を図るために、航空ネットワークハブ機能の特性を生かした事業展開(UHHAプロジェクト)を進め、グローバルなビジネス拠点機能やメディカルツーリズムを促進していく。さらに、最先端技術のショールーム化や店舗再配置などによって商業施設の活性化も進めていく。このほか、新しい空港運営の未来を構築するノウハウを取得する目的で、海外空港事業への参画などで事業ノウハウを活用。また、跡地開発による羽田地区全体の価値の向上、グランドハンドリング業務のノウハウ蓄積、業務範囲の拡大なども進めていく。
こうした取り組みを通じて事業基盤の再構築を図り、店舗収支改善、利益率重視の卸売体系構築、調達業務の一元管理、連結部門ごとの収支責任管理体制の構築、事業評価・モニタリング体制の整備、組織生産性の向上に取り組むことでグループ事業収益性も改善していく方針だ。
中期経営計画期間中の投資として、国際化の対応に15億円(2013年度)、利便性の質的向上と安心・安全に100億円(2013〜2015年度)、新しい空港価値の創造に90億円(2013〜2015年度)、2ビルIV次計画に27億円(2013年度)、その他に28億円(2013〜2015年度)、合計260億円を計画している。また、2015年度の数値目標として、連結営業収益80億円、EBITDA205億円、連結営業利益率5%超を掲げ、配当13円以上の株主還元を目指すとしている。また、自己資本比率50%以上を継続し、財務の健全性を確保していく。
日本空港ビルデングでは、景気動向や羽田空港の容量拡大を踏まえた旅客需要予測も発表。それによると、国内線は2013年度の6030万人から2014年度には6090万人、2015年度には6150万人に増加すると予測。国際線は2013年度の820万人から2014年度には1270万人、2015年度には1280万人に増加すると見込んでいる。