観光庁と文部科学省はこのほど、訪日教育旅行の受け入れ促進に関する報告書をとりまとめた。これは「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」の一環として、海外からの教育旅行数を「2020年までに約4万人(2013年度実績)の5割増」に引き上げる目標に向けた取り組み。特に、地方部における受け入れ拡大に着目した内容となっている。
文部科学省によれば2013年の訪日教育旅行受入実績はのべ2340校。地域別では台湾が約3割と最多で、次いで韓国(18.9%)、アメリカ(13.%)。受け入れ者数が多かった都道府県別は、東京(4084名)に次いで、長野県(3702名)、大阪府(3549名)となった。
2013(平成25)年度の訪日教育旅行受け入れ実績は以下のとおり。
報告書では、実績数2位となった長野県による成功事例も発表した。
その中で、同県による取り組みの特徴は「関係機関との連携にある」と説明。県の国際観光推進室が英語や中国語に対応できる職員を採用し、教育委員会や学校との間で窓口業務や調整実務を行う「コーディネーター」として積極的に活動している状況が報告された。
予算確保の面では、県が明確な目標値(2015年度は120団体)を設定し、交流経費を負担するといった取り組みを実践するほか、記念品の提供や歓迎横断幕の作成などの面で協力を行った。
また、受け入れ時のプログラムでは、茶道など日本の伝統文化に触れる部活動への参加を促進することで、教育課程への影響を低減する工夫を施したという。
ほかにも、常時20名ほどの通訳をスタンバイする体制を整え、文化や教育に関する通訳者としての研修も実施。さらに学生の滞在先は簡易宿所の営業許可を取得した農家でのホームステイを行うことで安全対策を徹底したなどとしている。