貸切バス事故対策で「旅行業者を含めた安全確保」へ、ツアーでバス会社名の表記や通報窓口などの方針 -国交省

2016年1月に発生した長野県軽井沢町のスキーバス事故を受け、国土交通省は2月18日、「旅行業者を含めた安全確保」をテーマとした専門委員会(軽井沢スキーバス事故対策検討委員会)を開催した。

同委員会は事故直後の1月22日に設置されたもの。今回の事故について、(1)監査を通じた是正指示が徹底されていなかったこと、(2)大型バスの常務経験が乏しい運転手が乗務していたこと、(3)届け出運賃の下限をさらに下回る運賃で運行されていたこと、(4)ドライブレコーダーなどハード面での安全対策が徹底されていなかったことなどが背景にあると分析。毎回テーマを設けて課題と見直し策を検討している。

今回のテーマ「旅行業者を含めた安全確保の課題」では、安全性に関する情報をもとに消費者や旅行業者が貸し切りバス事業者を選択できる仕組みが整っていないことを提起。現状ではバス会社名の表記もない広告も多いことから、ツアー(募集型企画旅行)の広告表示において貸切バス事業者名とその安全情報、セーフティバス(貸切バス事業者安全性評価認定制度)取得情報を含めた表記を含める方向への見直しを方針としてとりまとめた。

これにより、バス事業者による安全情報の公表義務、国土交通省によるその内容のとりまとめ、さらに旅行会社や旅行比較サイトなどで確実に安全情報を消費者に伝えるためのフローが発生する。

旅行会社側に向けた見直し案として具体的には、「バス会社が早期に決まっている場合は、企画旅行の広告に明記」または「バス会社を少数の複数社に絞り込めた場合も、広告に明記する(例:A社、B社又はC社)」内容を提示。これらが難しい場合には、出発の7~10日前に旅行者に配布される最終日程表でバス会社を明記することが求められるとしている。

一方、貸切バスの運賃制度に関する課題では、旅行業者がバス事業者の運賃・料金の下限割れを確認しやすい仕組みを検討。同時に、国土交通省自動車局では独立性の高い「通報窓口」を設置。旅行業者とバス事業者の適正な商取引を確実なものにするとしている。

なお、同委員会では今後の検討課題としては、旅行業者に対する行政処分等の強化の検討やランドオペレーターへの対応についての協議を進める予定。さらに、運転技術のチェック強化やハード面・新規事業参入時の安全強化について審議を進め、7月には中間整理をおこなう計画としている。




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