東京商工リサーチはこのほど2015年度(2015年4月~2016年3月)の旅行業・宿泊業の倒産状況を発表した。それによると、旅行業の倒産件数は前年比26.4%減の25件で、そのうち東日本大震災関連の倒産は2件。3年連続で減少となり、回復基調がみられた。負債総額は前年比45.5%減の30億100万円。地域別では東京都、大阪府、愛知県でそれぞれ4件の倒産が発生した。
東京商工リサーチでは、旅行業が前年と比較して、需要が海外旅行から国内旅行シフトしたことが倒産抑制に働いたとみる。ただし、大手と中小の間でオンライン販売の営業力などの格差が今後さらに広がり、地域密着型で営業してきた中小事業者が苦戦を強いられる様子もうかがえると分析している。旅行業の倒産状況推移は以下のとおり。
宿泊業の倒産は前年比5.7%増の92件で、そのうち東日本大震災関連の倒産は11件。負債総額は0.3%減の542億2000万円だった。
倒産形態としては「破産」が59件で全体の64.13%を占めた一方、「特別清算」が26件で前年の10件から大幅に増加した点が特徴。東京商工リサーチではこの状況について、事業再編を進めるための「特別清算」形態が増加する反面、インバウンド需要の効果も得られずに「破産」に追い込まれる企業も多かったことが明暗を分ける結果になったと分析している。宿泊業の倒産状況推移は以下のとおり。