京都市産業観光局観光MICE推進室はこのほど、京都市内の民泊施設について実態調査をおこなった。
それによると、調査対象のうち旅館業法許可が確認できたのは189件(全体の7.0%)。無許可と思われる施設は1847件(68.4%)と推定。無許可物件の施設タイプ別では、戸建て住宅が548件(58.6%)、集合住宅では1255件(74.8%)。集合住宅施設のほうが無許可での運営件数が多いほか、府外(海外を含む)在住者による運営件数も多い傾向にあることが判明した(戸建て住宅では府外在住者による運営が20.1%、集合住宅では29.9%)。
宿泊可能人数は全施設の合計で約1万2000名。そのうち、2名または3名を定員とする施設が49.8%の1345件。国家戦略特区での外国人滞在施設経営事業で設定された「6泊7日以上」を最低宿泊日数に設定する施設は1.6%にとどまり、1泊から宿泊可能とする施設が53.7%の1452件と過半数以上だった。
1名1泊あたりの宿泊料金の最多価格帯は、ビジネスホテルと競合する6001円~12,000円(全体の38.9%)。6000円以下は14.0%、1,2001円~18,000円が25.0%。24001円以上の施設も11.4%の309件あったが、そのうち212件は戸建ての一棟貸しだった。
なお、周辺住民へのヒアリングで多かったのは、「民泊施設の開業に当たって事前説明がない」「管理者が常駐せず、誰がどのように運営をしているか分からない。トラブル時の連絡先も分からないことため不安」といった声。また、戸建て住宅では騒音に関する懸念が多く、集合住宅では不特定多数の利用者が出入りするため「オートロックの意味がなくなっている」といった不安が多かったという。
同時に実施した民泊仲介サイト運営者へのヒアリングで回答があった「とまりーな」は、法令順守を徹底しているとのコメントする一方で、違反事業者に対して適切な規制・摘発を望む見解を表明。Airbnbでは、問題のある施設について複数回の注意喚起をおこなっても改善が見られない場合は掲載から削除する措置を実施。また、Airbnbでは管理者不在の施設は推奨していない反面、日本では約6割程度が管理者不在(海外では3割程度)となっている実態も明らかになった。
民泊代行事業者へのヒアリングの傾向としては、利益優先の民泊代行事業者では法令順守に対する意識や地域住民とのトラブルに対する意識は低いように見受けられる一方で、明確なルールの確立や運営ノウハウの共有を求める声をはじめ、行政の動きに非常に注目している様子もみられたという。
今回の調査は、Airbnbなど民泊仲介サイトに掲載中の2702件を対象に、地域や施設タイプ、旅館業法許可の有無、宿泊可能人数、宿泊料金などを調査し、さらに周辺住民へのヒアリングもおこなったもの。 調査期間は2015年12月1日から2016年3月31日まで。