旅行業ビック3が語る、海外旅行の需要拡大のカギは? JTBはM&A積極展開にも意欲 ―ツーリズムEXPO2016

「ツーリズムEXPOジャパン フォーラム2016」のテーマ別シンポジウムが2016年9月23日、開催された。海外旅行の需要喚起をテーマに旅行業界のトップ3が登壇した「海外旅行シンポジウム」は立ち見が出るほど盛況で関係者の関心の高さをうかがわせた。パネリストは、JTBの髙橋広行社長、エイチ・アイ・エス(HIS)の平林朗社長、阪急交通社の松田誠司社長。モデレーターはワールド航空サービスの菊間潤吾会長が務めた。

業界の連携がサプライヤーへのカウンターパワーに

74961_02シンポジウム後には記者会見が開かれ、パッケージツアーの競争力低下や将来的なM&A(合併・買収)などに対し、4人があらためて言及した。

サプライヤーの直販やOTAの台頭で縮小するパッケージツアーの課題についてHISの平林社長は、「日本のパッケージツアーは内容に優れているものの、流通の世界的な流れに追いついていない」と指摘。「利益の一部をリテーラーに還元するホールセールのビジネスモデルが競争力を弱くしている」と語った。

一方、JTBの髙橋社長は「価格重視の単品は別の戦略が必要だが、企画力のある着地型商品を組み合わせたFIT対応を強化することでホールセールも十分生き残れる」とした。

需要拡大の鍵となる企画力の向上では、阪急交通社の松田社長が「専門特化している会社との連携を提案していきたい。料理と同じで企画のレシピ公開には旅行会社にとって肝の部分であるが、拡大のためにさまざまな形を模索したい」と旅行会社間の連携に言及し、ワールド航空サービスの菊間会長も「企画の着眼点やコンセプトをある程度共有することで、業界全体の商品が面白くなるほうがいい」と賛同。HISの平林社長は、「チャーターをはじめ仕入れの部分でも業界が協力することが、サプライヤーに対するカウンターパワーになる。航空アライアンスのように、グローバル間で旅行会社の連携があってもいいのではないか」と話した。

JTBはM&Aの積極展開にも意欲

74961_03さらに、将来的なM&Aに関してはグローバル戦略を進めるJTBの髙橋社長が「世界発のアウトバウンド、世界着のインバウンドのビジネスモデルを確立するために自ら開発するよりM&Aのほうがスピーディと判断すれば、今後も積極的にネットワークの拡充を図りたい」と意欲を示した。

会見には、セルビア、モンテネグロ、アルバニアのバルカン半島3国の観光局長も記者席で参加。チャーターやプロモーションの可能性に対し質問したのに対し、「ヘビーリピーターが主流になっている日本市場でバルカンのポテンシャルは非常に大きい」(菊間会長)、「ヨーロッパの治安に対する不安が大きい今が売り込むチャンス。ただ、観光局と旅行業界のコラボレーションが重要になる」(髙橋社長)などと語った。

海外旅行シンポジウムの内容は詳細記事で紹介する。

取材・記事 野間麻衣子

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