人は映像を見て旅に出るのか? 「実際にその場所を訪れた」経験者は約2割 ―JTB総研

JTB総合研究所はこのほど、「スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査」のなかで、旅行の動機につながる映像情報に関する消費者傾向を調べた。

それによると、「映像を見たことがきっかけで(旅行に)行きたくなり、その場所を実際に訪れた」割合は全体の19.7%、また「映像を見たことがきっかけで行きたくなったが、実際には訪れていない」が24.8%。合算すると全体の44.5%が何らかの形で映像をきっかけに旅行に行きたくなった経験をもつことが判明。なかでも10~40代までの男性や10~29歳女性では「実際に訪れた」割合が比較的多いことが分かった。一方、「映像を見たことで満足してその場所に行かなくてもいいかという気持ちになった」割合も6.0%に至る結果となっている。

映像情報をきっかけとする訪問意欲の状況は以下のとおり。

JTB総合研究所:報道資料より

旅行に行きたくなった理由をみると、「実際に見て実物を確認したい」(59.3%)、「その場所の風や音を感じたい」(55.2%)が過半数を超える。ほかには「生活や文化に触れるなど、より深くその場所を知りたい」(15.7%)、「実際に訪れたことをSNSで発信したい」(4.6%)などが挙げられたという。

さらに掘り下げると、映像の内容によって実際に訪れたくなったかどうかの傾向が異なる状況がわかる。「実際に訪れた」割合が「行かなくてもいいと思った」割合を上回った映像の内容は、「歴史文化的な建造物」「伝統料理、郷土料理」「B級グルメや名物スイーツ」など。逆に「自然風景」「日常生活の風景、街並み」「民芸品、土産物」「観光体験シーン」「旅先の変わったもの、面白いもの」などの映像では、見ただけで満足してしまう人の割合のほうが多い結果となった。

これらの結果より同社では、「食」の存在が旅のモチベーションにつながる傾向が強いと分析。また、配信する側は、映像情報があふれている社会の中で、生活者の琴線に触れる魅力的なコンテンツを見極めていくことが重要だとしている。

映像の内容と旅行経験・意欲の関係は以下のとおり。

JTB総合研究所:報道資料より

なお、消費者が映像を見た手段で最も多いのは「SNSに投稿された映像」(45.2%)、次いで「Youtubeなどに投稿された動画」(35.2%)、「インターネット配信の映画やテレビ」(26.8%)と続いた。ただし、その内訳は世代や性別により異なる傾向もみられる。例えば、「SNSに投稿された写真を見て行きたくなった」人の割合は、29歳以下の女性で特に多く、「Youtubeなどに投稿された動画」は40代以下の男性と50代~60 代の女性で比較的多い結果となっている。

JTB総合研究所:報道資料より

この調査は、首都圏、名古屋圏、大阪圏に住む18歳から69歳までの男女1万名に対するスクリーニングを実施後、本調査としてプライベートでスマートフォンを利用し、過去1年以内に1回以上の国内旅行(日帰りも含む)経験者1030名を対象におこなったもの。調査期間は2016年9月24日から26日まで。

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