観光庁は、このほど発表した訪日外国人消費動向調査(2016年1月~12月年間値速報)に合わせ、訪日中国人旅行者にフォーカスした「日本滞在中における買い物支出の緊急調査」の結果を公開した。2016年11月、訪日中国人406名に対して支出傾向などを調べたもの。
その結果、関税引き上げが行われた2016年4月以降、訪日中国人が日本での買い物を控えた金額は総額約2000億円に至る試算となった。
調査によると、中国帰国時の関税支払を抑えるために「日本滞在中の買い物支出を抑えた」旅行者が全体の44.6%。また、中国国内で越境ECを利用することで買い物支出を控えた旅行者は22.4%だった。
品目別では、関税支払を意識して購入を控えた商品のトップは「電気製品」(23.2%)。次いで「化粧品・香水」(19.5%)、「カメラ・ビデオカメラ・時計」(15.5%)。越境ECを活用することを理由に日本での消費を控えた品目は「化粧品・香水」(10.8%)、「電気製品」(7.9%)、「医薬品・健康グッズ・トイレタリー」(5.7%)の順だった。
関税引き上げの影響で支出を控えた品目は以下のとおり。
観光庁では、関税引き上げや越境EC利用により抑制された買い物支出は中国人旅行者一人あたり4.7万円、買い物支出の抑制率は26.8%と推計(緊急調査の対象となった中国人旅行者一人当たり買い物支出は12.9万円)。この数字をもとに、中国人旅行者の日本滞在中の「買い控え」影響額を約2000億円と試算した。
なお、今回発表された消費動向調査(2016年年間速報)では、中国人一人当たり旅行支出23万2000円で前年比18.4%減となり、調査対象の全地域のうち減少幅が最大となった。金額ではオーストラリア(24万7000円)に次いで中国が多いものの、減少幅の大きさが目立つ。買い物支出だけに特化すると、中国人一人当たり旅行支出は12万2895円(2015年確報値は16万1973円)で、支出全体の53.1%に至ることがわかっている。