星野リゾートが国内外で37軒目となる「星のやバリ」を2017年1月20日にグランドオープンする。同社の海外展開でタヒチに続く2軒目、「星のや」ブランドとしては初の海外施設。開業の記者会見で、同社代表の星野佳路氏は、「今後3年から5年で海外施設を数件、展開できるとみている」ことを明かし、バリに続く海外施設の拡大にも意欲を示した。
今回、バリに開業するホテルは「聖なる川に向かう運河の集落」がコンセプト。施設至近にはバリの文化遺産であるスバック(伝統的な水利組合)が走り、施設はジャングルや渓谷の景観を生かして建設された。約3ヘクタールの敷地内に、運河にみたてたプール沿いに3タイプ30棟のヴィラ客室を配置。バリ建築の技法で仕上げた客室内や施設の随所には、ウブド地域の伝統アート・彫刻が施された上質な空間とした。客室料金は1泊1室900万ルピア(約8万円)から。パッケージツアーでは、ルックJTBで1月23日から販売が開始される。
星野氏は、施設の仕上がりとともに、稼働率では「3年後には8割を超えると確信している」と自信を見せた。
海外進出で欠かせない外国人の集客力、今後は欧米に注力
星野代表は、従来から同社の海外展開について積極的な姿勢を示してきた。旅館スタイルのホテルを世界の各都市へ展開していくという方針のなかで、バリでも旅館の運営と同じ手法を採用。現地スタッフが、旅館の運営スタイルをアレンジしていくという流れを、先例となるタヒチの施設と同様に取り組んだという。
星野氏は、こうした運営手法が「タヒチでは集客や顧客満足度につながってきた」と評価し、「バリでもスタッフが楽しみながらすすめてくれている」と自信を見せた。
また、海外進出で欠かせないのは外国人の集客力。バリは日本人にも人気が高く、星野氏は「日本国内の需要をしっかり取りたい」とする一方、「日本人が半分以上になることはない」とみる。そのため、アジアの需要をしっかりとっていきたい考えを示したうえで、今後は「欧米での集客力をつけていきたい」と話した。星野氏は海外進出にあたってフラッグシップとなる東京での開業を重視してきたが、「星のや東京」を昨年7月に開業。開業から半年、外国人比率では当初の予想を超える6割になったという。トマムの冬は6割、京都は3~4割が外国人が占めており、星野氏は「海外から集客する力がついてきている」として、今後の海外展開の下地ができている状況を強調した。