帝国データバンクが発表した「京都府内のホテル・旅館の経営実態調査」によると、京都府内のホテル・旅館(150社)の2015年度の収入高合計は、前年比2.7%増の1054億8200万円となった。収入高合計は、2012年度以降、4年連続で増加。観光入込客数の増加に伴い、稼働率が高まり、全体的に業績が伸びているという。
ただし、収入高規模別にみると、年商規模の大きい企業ほど増収の比率が高いことが判明。「5億円以上10億円未満」では8割、「10億円以上、50億円未満」では7割弱、「100億円以上」では対象2社がそれぞれ増収となった。
しかし、90社が対象となる「1億円以上5億円未満」の企業では5割の企業が増収したものの、4割弱が横ばいに。31社が対象の「1億円未満」の小規模企業では7割強が横ばいとなり、収入高規模によって2極化傾向にある。施設数や収容客数の多い大手の方が、収入が拡大しているという。
業歴別では、「30年以上50年未満」「50年以上100年未満」「100年以上」が、それぞれ5割強の企業が増収に。業歴が長くなるほど増収の構成比が高く、老舗の強さがうかがえた。
企業別の収入高ランキングでは、1位はJR京都駅ビル内の「ホテルグランヴィア京都」運営のジェイアール西日本ホテル開発で、約321億100万円。2位は「京都ホテルオークラ」「からすま京都ホテル」などの京都ホテルで、約107億6500万円。3位は「京都タワーホテル」など5つのホテルを運営する京阪ホテルズ&リゾーツの約49億4000万円だった。
帝国データバンクでは、京都では2020年開催の東京オリンピックに向け、「パークハイアット京都」や「アマンリゾーツ」など、既に開業の予定や計画がある外資系ホテルを含め、ホテル・旅館市場は拡大が見込まれる。
ただし、業界内での集客競争は激化し、資本力に乏しく、差別化を図ることができない中小零細企業と、施設やサービスに資本投下が可能な大手企業や老舗企業との間で、2極化が鮮明になっていくと予想している。