KNT-CTグループが大規模な事業再編、社長交代・分社・吸収計画を発表、個人旅行はクラブツーリズムに集約へ

KNT-CTホールディングスは2017年4月27日、会社分割を含むグループ全体の再編と代表取締役の異動を発表した。2017年6月20日で新社長には近鉄グループで要職を歴任してきた丸山隆司氏が就任。現社長の戸川和良氏は相談役に就任する予定となっている。

グループ再編は、旅行業界を取り巻く環境の変化に対応すると同時に、持続的成長につなげるための「事業構造改革」に位置付けられるもの。

基本方針として、(1)グループ横断的な事業戦略の策定機能および事業推進機能の強化、(2)地域密着による意思決定の迅速化、機動力の発揮、(3)訪日旅行事業、インターネット販売事業など成長マーケットへの専門特化、の3点を提示。組織と権限の集中により事業推進機能を強化すると同時に、分社化をおこない専門分野に応じた営業体制を築く方向だ。組織構成としては、近畿日本ツ―リストおよび近畿日本ツーリスト個人旅行の2社を分割会社とする一方で、新会社を継承会社とする体制にて吸収分割を進める。

具体的には、「集中」のための施策として、近畿日本ツ―リストおよび近畿日本ツーリスト個人旅行を統合し、KNT-CTホールディングスの事業統括部門に集約。グループ横断的な事業戦略の策定を進めやすくする。

一方で、「分散」施策として、近畿日本ツーリスト首都圏(仮称)、近畿日本ツーリスト関東(仮称)など4つの「地域旅行会社」を新たに立ち上げ、地域の消費者との接点を強化。ここでは、団体旅行、グループ旅行、個人旅行といった垣根を設けることなく対応すると同時に、自治体の取り組みとの連携も推進。個人旅行商品の造成はクラブツーリズムに順次集約をおこない、商品力強化を図る方向とした。

また、訪日旅行対応では、新たにKNT-CT訪日旅行(仮称)を、個人旅行向けのネット販売事業では近畿日本ツーリストWEB(仮称)を設立。ほかにも東京地区の法人需要強化に向け、MICEを中心に扱う近畿日本ツーリストECC(仮称)を設置する予定。2018年4月に向け、段階的に構造改革を進める。

KNT-CTでは同日、個人事業の低迷などを理由として、2017年3月期の連結業績で特損を計上、売り上げ予想の下方修正を発表。今回の事業構造改革の背景としても言及されたように、今後はさらに、外資を含めたOTA(オンライン旅行業)の台頭やネットを介した直販市場の拡大、民泊に代表される規制緩和といった環境の変化も踏まえたうえで、競争力を持つ柔軟な体制が求められるとの考えを示している。

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