NTTドコモは、インバウンド向け対応を本格化する新サービスを発表した。2017年7月から訪日外国人向けに一定量のデータを無料で利用できるプリペイドSIMサービスを開始する。
このサービスの特徴は、訪日前の外国人旅行者にSIMを販売し、ユーザーがスマホなどで広告閲覧をすることで高速データ通信量をチャージできること。利用には、同社のユーザーIDである「dアカウント」の登録が必要で、同社としては早期に100万人の利用を目指す。さらに、秋には無料プランの提供も予定しており、2020年までには「倍増させたい」(ビジネス基盤推進室室長 太口努氏)との考えだ。
今回発表された新サービスの名称は「Japan Welcome SIM」。外国人が、訪日前にNTTドコモの専用サイトでdアカウント登録後に申込み、訪日時には空港でSIMを受け取る。スマホへの装着は、APN設定が不要で、旅行者は迅速にスマホ通信が可能に。その後、ドコモの通信ネットワークを15日間利用できるという流れだ。サービス提供は2つの有料のプランから開始、10月には無料プランも提供することで拡大を図る。
外国人ユーザーの取込みでは、パートナー企業との取り組みを重視する。BtoBtoCでの販売を目指す方針で、パートナー企業による「オプション提供型」と「カウントフリー型」の2つのタイプを用意した。オプション型では、まずは東急ホテルズが導入。オンラインで客室を予約する際に、オプションとして選択可能とし、宿泊費とともに支払いができるようにした。まずは東京・永田町のザ・キャピトルホテル東急から販売を開始する。
カウントフリー型では、OTAのブッキング・ドットコムが参画。外国人が訪日中に同社サイトやアプリを利用する際の高速データ通信を無料とし、100MBのボーナス特典を用意した。NTTドコモは、今後、こうした観光関連企業とのパートナーシップで事例を拡大したい考えだ。
また、「広告収益もモデルにしていきたい」(太口氏)考え。ユーザーに提供する広告も大きな事業の柱とする。無料チャージを提供する広告内容は、動画、アンケート、アプリインストール、記事閲覧などでサービスを開始。将来的にはクーポン配布や体験予約、飲食予約などでチャージできるようにしたいという。
広告数の拡大では、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)と協業。DACは、インバウンド・マーケティングを支援する事業を行ってきており、今回の協業でさらにタビマエからタビナカ、タビアトに至るまでの一連のサイクルでの支援を強化していく。
なお、サービス開始時にSIMカード受取りができる空港は、成田空港、羽田空港国際ターミナル、関西国際空港。海路での訪日客が多い福岡では博多市内のドコモショップでSIM受け渡しを可能とした。将来的には、全国のドコモショップでの展開も視野に入っているという。