GDS事業のセーバートラベルネットワークはこのほど、日本企業の海外出張に関する予約や手配、出張中、出張後の現状や意向を出張者の視点でまとめた「ビジネストラベルマネジメント(BTM)に関する海外出張者の実態調査」を発表した。その結果によると、日本における出張など法人旅行で企業単位のマネージメントがまだまだ浸透していない実態が浮き彫りになった。
調査結果では、「会社指定の旅行会社がある」との回答は全体の78%で、そのうち23%は「自分で自由に旅行会社を選択してもよい」状況。また、出張前や出張中はデジタル情報利用への期待はあるものの、まだ実現に至っていない。この状況は、欧米企業ですすむ社内での集中購買によるコスト削減や、データ活用による効率的な出張管理の状況とは大きく異なる。
出張手配は「メール・電話」が中心、「人を介したやりとりに時間がかかる」との声も
予約をおこなう際の手段(複数回答)は、「会社指定の旅行会社へのメール」(52.5%)、「会社指定の旅行会社への電話」(31.0%)など人を介したサービスが中心で、「会社指定の旅行会社が提供する予約サイトで予約する」割合は17.0%にとどまる。その一方で、煩わしい・不便な点として「旅行会社との電話・メールでのやりとりが多く、時間がかかる」(24.0%)が挙げられており、業務効率上での改善の余地があることが鮮明となった。
予約する際の手段(複数回答)は以下のとおり。
アナログでの旅程管理が6割以上、アプリ利用者は15%
海外出張時の旅程管理でもデジタル化はまだ浸透半ばで、スマホの旅程管理アプリのユーザーは15%にとどまる。反面、「旅行会社からもらう旅程表を持参(またはプリントして持参)」する人が61.5%となったほか、「エアライン・ホテルから発行される予約確認書を持参(プリントして持参)」する人も28.5%。アナログで旅程管理をおこなう割合が主流であることがわかる。
海外出張中の航空・宿泊などの旅程管理方法(複数回答)は以下のとおり。
こうした状況に対し、セーバー日本支社では日本企業が旅行会社などトラベル・マネージメント・カンパニー(TMC)に出張管理を一括で委託する重要性を指摘。さらに、デジタルツールを活用した出張管理で、経費や業務を効率的に削減、生産性を向上できるとしている。欧米では、企業内にトラベル・マネージャー(TM)と呼ばれる管理者が存在することが一般的。日本では、旅行会社がTMCとしてその役割を担っている。企業が新たな管理体制を確立するためには、トップダウンによる決断も重要なポイントとして、危機管理を含めた出張管理を導入することを呼び掛けている。
なお、出張者が旅程関連アプリに求めたい機能としては、「フライトチェックイン/ステータス確認」(55%)が最多。次いで、「シートマップ」(35.5%)、「ホテルマップ」(33.5%)と続いたほか、デジタル搭乗券(30.5%)、「ゲート変更通知」(29.5%)、「ホテル予約」(27.0%)、「ホテルのルームキー機能」(13.5%)など。モバイルデバイス利用ならではの機能性への期待が見受けられた。
海外出張時の危機管理面では、GPSを使って企業が個人の所在を追跡することについては賛否両論(賛成51.0%、反対47.0%)の結果に。例えば「異常時のみ(追跡)可能」「勤務時間を含め任意で指定できるなら(可能)」など、柔軟な対応を求める声も寄せられたという。
この調査の対象は、従業員500名以上の組織に所属し、直近1年間に2回以上海外出張をおこなったビジネスパーソン。サンプル数は200。年代は30代から50代まで。