2018年度の観光予算が閣議決定、総額は15%増の294億円、新税の国際観光旅客税(いわゆる出国税)は60億円見込み

政府は2017年12月22日、2018年度(平成30年度)予算案を閣議決定した。国土交通省関連の一般会計予算は前年度並みの5兆8047億円、観光庁の予算額は前年度比15%増となる293億6500万円。そのうち一般会計予算は18%増の248億円となり前年度と比較して37億6500万円増加。東北を対象とする復興枠は前年並みの45億6500万円となった。

248億円のおもな内訳は、4本柱とする「訪日プロモーションの抜本改革と観光産業の基幹産業化」に107億6800万円(15%増)、「“楽しい国 日本”の実現に向けた観光資源の開拓・魅力向上」に27億4900万円(23%増)、「世界最高水準の快適な旅行環境の実現」に97億5000万円(14%増)、「観光統計の整備」に6億1000万円(17%増)を充当する。

また、2018年度予算では、2019年1月7日以降の出国客から徴収する予定の国際観光旅客税(仮称、いわゆる「出国税」)による約60億円の歳入を見込む。この財源のおもな使途としては、ICTなどを活用した多言語対応や安全情報などに関する情報プラットフォームの構築を通じた「ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備」に12億円、日本政府観光局(JNTO)サイトを活用したデジタルマーケティングなど「我が国の多様な魅力に関する情報入手の容易化」に13億円、文化財や国立公園などの多言語対応や最新技術を駆使した観光など「観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上」に7.5億円を充当するとしている。

以下、4本柱とする各項目について予算案概要を抜粋する。

訪日プロモーションの抜本改革と観光産業の基幹産業化(107億6800万円)

ここでは、まず「訪日プロモーションの抜本改革」に向けて前年比15%増となる100億1100万円を計上。政府が目標に掲げる「2020年の訪日外国人旅行者数4000万人、訪日外国人旅行消費額8兆円」などの達成に向け、アジアのみならず欧米豪市場や新たな成長が見込まれる市場からの誘客に注力する方針に合わせ、訪日グローバルキャンペーンや市場別プロモーション、ICTやビッグデータを活用した日本の魅力発信などを推進。また、JNTOでは大胆な体制強化を進め、プロモーションの高度化や戦略的誘客につなげる計画だ。

そのほか、MICE誘致の促進(前年並みの2億100万円)、観光産業における人材育成事業(15%減の3億1500万円)、通訳ガイド制度の充実・強化(13%減の2600万円)、健全な民泊サービスの普及(54%増の1億900万円)に加え、新たに「宿泊施設を核とした地域の活性化促進事業」(1億700万円)を加えた6項目について予算を配分した。

“楽しい国 日本”の実現に向けた観光資源の開拓・魅力向上(27億4900万円)

「楽しい国 日本」の実現では、新規項目として「最先端観光コンテンツ インキュベーター事業」に4億5000万円を充当。モノ消費からコト消費にシフトする消費動向に合わせ、インバウンド旅行者のニーズに的確に対応できる観光コンテンツ選定や育成をおこなう。

そのほか、地域観光資源の多言語解説整備支援事業に3億円(新規)、テーマ別観光による地方誘客事業に前年並みの1億5100万円を計上。DMOが中心となり観光客来訪・滞在促進をおこなう「広域周遊観光促進のための新たな観光地域支援事業」には、18億4800万円(11%減)を計上した。

世界最高水準の快適な旅行環境の実現(97億5000万円)

ここでは、訪日外国人旅行者の受入環境整備緊急対策事業として13%増の96億3200万円を計上、ICTなどを活用した多言語化や観光地の魅力向上、公衆トイレの様式化や旅館・ホテルの環境整備といった滞在時の快適性向上、観光地までの移動の円滑化、受入環境調査などを実施する。

また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたユニバーサルツーリズム促進事業として1800万円(0.9%減)、日本人海外旅行者が現地でテロや災害に遭遇した場合に活用できる「旅行安全情報等に関する情報プラットフォーム」構築に1億円(新規)計上する。

観光統計の整備(6億1000万円)

観光統計の整備では、従来の「訪日外国人消費動向調査(外国人)」「旅行・観光消費動向調査(日本人)」「宿泊旅行統計調査(日本人・外国人)」の実施に加え、「地域観光統計」の充実に予算を充当。3統計の結果をもとに都道府県ごとの宿泊・日帰り旅行別の入込数や消費実態を示す取り組みを進め、変化が著しい旅行者の消費実態把握を支援する。

観光庁関係 予算決定概要(PDFファイル、39ページ)

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