楽天は2018年1月17日、全国10会場で順次開催する宿泊施設対象の「楽天トラベル新春カンファレンス2018」をスタートした。例年、同カンファレンスの「戦略共有会」では同社の新たな取り組みなどが発表されるが、今年は2001年のサービス開始以来初めてとなるサイトの全面刷新が発表された。
全国に先駆けて開催した札幌会場で、楽天株式会社 執行役員 ライフ&レジャーカンパニー ヴァイスプレジデント トラベル事業長の髙野芳行氏は、予約サイトの全面リニューアルを今年の最大の施策として発表した。5月に海外ホテル・海外航空券予約でリニューアルを開始し、9月をめどに国内宿泊施設などその他の予約コンテンツについて本格稼働する。
今回のリニューアルは、楽天トラベルのビジョン「リーディングOTAとして、次世代の旅行プラットフォームを作る」一大プロジェクト。「新しいOTAを作る」くらいの意気込みで総力をあげ、サイト設計の根本から全面刷新する。基盤のプラットフォームそのものを変更し、リニューアル後のサイトは、従来のものとは全く印象が異なるほどに大きく変わるという。
髙野氏は「おかげさまでサービスは順調。直近1年間の取扱額は公表ベースで日本の旅行会社で2位であり、順調に推移している」と成長ぶりをアピール。リニューアルはさらに先を見据えた改善であることを説明した。
その上で、現在のサイトはサービス開始時の基盤システムをもとに改修を重ねてきたものであり、「ユーザーのオンライン行動は常に変化し、そのスピードも速まっている。そこに真摯に向き合わなければ、選ばれるサービスにならない」と、リニューアルの重要性を強調した。
キーワードは「パーソナライズ」と「シンプル&スマート」
ユーザーも宿泊施設も「ベストな相手」を見つけられるサイトに
開発担当の楽天株式会社 執行役員 ライフ&レジャーカンパニーCTOの星野俊介氏は、リニューアルの概要を説明。強化する大きなポイントとしてまず、パーソナライズ化をあげた。
星野氏は「楽天グループとして多様なデータを持ち、どのOTAや旅行会社よりも旅行者を知っている。だからこそ、旅行者が本当に好みそうな宿泊施設を提示し、宿泊施設にとってはファンになってくれる旅行者に対して訴求する、ユーザーと宿泊施設に対して一番いいマッチングを提供できるサイトにする」とその狙いを説明。楽天トラベルが掲げていたユーザーと宿との「ベストマッチング」を実現する予約サイトになることを強調した。
そのため、リニューアル後のサイトでは、初訪問者にはすべて同じ画面が表示されるが、2回目以降は画面の上部にユーザーの閲覧履歴などに応じたおすすめの宿泊施設を提案するなど、ユーザーの嗜好にあわせて個別に表示を変更。楽天グループの他のサービスの利用履歴も参考にするので、例えば楽天市場でペット用品を購入したユーザーが楽天トラベルで検索した場合、ペットフレンドリーな宿を上位に表示するなど、より精度の高いパーソナライズを実現できるという。
さらに、ユーザーごとに最適化したクーポン割引なども表示する。宿泊と交通を組み合わせたパッケージ割引、早期予約割引やポイントアップキャンペーンなどの各種割引施策も、そのユーザーが受けられる割引を表示し、その場で選択しやすいようにする。
また星野氏は、現在とこれからのトレンドとして「モバイル」「グローバル」を提示し、「これらを踏まえ、操作性をよりシンプルに変える」ことも説明。
例えば、宿泊予約では「ホテル・旅館の選択」の後に「部屋タイプの選択」→「オプション(食事やサービスなど)の選択」→「プロモーションの選択」→「予約」の順で予約が行なわれるようになる。
同時に、これまで個別に予約をする必要のあった航空券や高速バス、レンタカーなどの交通コンテンツも、一連の流れの中で予約が可能になる。今後のグローバル展開やユーザー動向を見据え、「日本人はもちろん、インバウンド、世界の旅行者が利用しやすいサービスにした」という。
あわせて、宿泊施設にとっても、情報入力の負担を軽減し、誰もが簡単に自身の宿泊施設の魅力をアピールしやすい仕様に変更。各宿泊施設の紹介ページの中にある、宿泊施設ごとにカスタム可能なセクションについては、htmlをいちから組むのではなく、テンプレートから選べるようにしたり、一度の入力で9か国語の多言語展開も簡単に行なえるようになる。
つまり、今回のリニューアルによって、ユーザーにとっては希望の宿泊施設をより少ない時間と手間で見つけやすく、宿泊施設にとっては宿の魅力をより簡単に打ち出せ、多様な魅力を知ってもらえるようになる。
さらにリニューアルの本格稼働時には、楽天グループの民泊仲介サイト「楽天ライフルステイ」の民泊物件の掲載も開始する。
これについて髙野氏は、2018年6月15日の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行後は、同法の条件を満たした民泊物件は合法となり、旅行者から見れば宿泊先として選択の対象となることを説明。
楽天トラベルで民泊の選択ができれば、民泊を探す人もサイトを訪問することになり、結果的にホテルや旅館が選ばれる可能性もある。またサイト自体の集客力が上がるとして、「民泊も一緒に扱う方が、総合的に見ればホテル・旅館にとっても良い結果になるのではないか」と、掲載を決めた理由を語った。
髙野氏は「未来は我々だけではなく、宿泊施設の皆様と一緒に作るものだと本気で思っている。楽天トラベルとともに、進化していきましょう」と呼びかけた。
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記事:トラベルボイス企画部