日本政策投資銀行の東北支店はこのほど、「2017東北インバウンド意向調査」と題する調査レポートを発表した。アジア8か国・地域と欧米豪4地域を対象に実施した調査結果にもとづき、東北圏内にフォーカスしてとりまとめたもの。
それによると、アジア8地域での「東北」の認知度は12.6%で、前回調査よりも1ポイント増加。東北への訪問意欲は3.5%と低レベルでありながらも、前回調査(3.0%)より若干の伸びが確認された。アジアにて認知度が最も高い東北の地域は「福島」(32.5%)。次いで「仙台/松島」(20.5%)、「青森」(19.8%)。訪問意欲が最も多いのは「青森」(6.2%)。
一方、欧米豪における東北の認知度は4.4%で、前回調査より1.87ポイント増加。認知度が高い都市は「福島」(29.0%)であり、それ以外の東北地域の認知度は軒並み5%を下回る結果となった。
国・地域別では、台湾・香港・中国からの東北の認知度が高いのが特徴。また、東北のうち「青森」への訪問意欲が高く、特に台湾で18.9%(前年17.3%)、香港で14.4%(同11.7%)と高い数字に。認知度が最も高い「福島」に対する訪問意欲が最も高いのはオーストラリア(9.7%)、次いでイギリス(8.1%)だった。
東北の認知度と訪問意欲は以下のとおり。
被災地ツアーへの参加意欲、もっとも積極的なのはインドネシア
また、日本での自然災害の実態や被害状況を学ぶ「被災地視察ツアー・ボランティア」の認知度では、アジアで「知っていた」とする割合は21.2%、欧米豪では19.5%。特に認知度が高かったのは中国(37.0%)と米国(31.2%)だった。
被災地ツアーへの参加意欲は、国・地域によって大きく異なることが判明。例えば韓国では「今後参加したくない」「被災地ツアーに関心がない」の合計が過半数を占める一方、インドネシアでは「ぜひ参加したい」「やや参加したい」の合計が62.6%を占める。また、タイ、中国、マレーシアなどは「参加したことがある」人も含め過半数以上が参加に積極的な意向を示した。
不安材料のトップは「言語」、アジアでは震災関連項目も上位に
東北を含む日本全体を訪問するにあたって不安材料に思うことのトップは「言葉が通じるかどうか不安」が約4割(アジア8地域で42.4%、欧米豪4地域で38.1%)。アジアでは次いで、「地震が起こるかどうか心配」(37.6%)、「放射能による健康被害が心配」(35.0%)など、震災関連項目が上位に続いた。一方、欧米豪では言語の問題に続いて2位に「渡航費用が高い」(34.4%)、3位に「滞在費が高い」(30.9%)が不安要因に挙げられた。
日本訪問にあたっての不安材料は以下のとおり。
この調査レポートは、日本政策投資銀行と財団法人日本交通公社(JTBF)により実施されたアジア/欧米豪を対象とする「訪日外国人旅行者の意向調査(平成29年度版)」の結果をもとに分析したもの。調査の対象は20歳から59歳までの海外旅行経験者。回答者数は合計6274名。対象国・地域は韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、英国、米国、フランス、オーストラリア。調査期間は2017年6月29日から7月12日まで。
詳細レポートは下記ウェブサイトから参照できる。
日本政策投資銀行