観光産業の2018年春闘方針、「すべての加盟組合」で賃上げ要求を、サービス連合がUNWTO正式加盟などで発信力強化へ

サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)は、2018年1月24日開催の中央委員会で決定した2018年の春期生活闘争(春闘)の方針を発表した。今年も中期的な賃金目標「35歳年収550万円」の実現に向け、すべての加盟組合で賃金カーブを維持した上での0.5%以上の実質的な賃金改善を目指していく。

専門誌向けに開催した記者会見で会長の後藤常康氏は、これまでの取り組みを振り返り、「中期目標に徐々に到達してきている組合もあるが、まだ多くの組合で達成していない。2018年度もしっかり賃上げに取り組みたい」と意思を表明。

“官製春闘”といわれ、政府や経団連の3%、連合全体の4%の賃上げ目標に対して、サービス連合の0.5%以上に「少ない」との意見もあることに対して、「サービス連合の加盟組合では賃上げが企業業績に左右されるのが実態。企業業績に左右されることなく賃上げができる最低ライン」とし、すべての組合で定着を目指せる数値として設定したことを説明した。

なお、35歳の年収実態(2017年数値、サービス連合加盟組合対象の調査)は、ホテル・レジャー業で400万円程度、ツーリズム・航空貨物業で514万円程度だという。

2018春闘ではサービス連合として初めて、スローガン「全ての加盟組合で待遇改善を実現しよう!!~魅力あるサービス・ツーリズム産業をめざして~」を設定。ポスターも約300枚程度制作し、各組合事務局などに掲示できるよう、配布する。事務局長の千葉崇氏は「すべての加盟組合が動きやすいよう、取り組みに対する理解を深めるため」と作成した趣旨を説明。すべての加盟組合での活動にこだわり、サポートを強化していることを強調した。

このほか春闘では、総実労働時間の短縮や契約社員・パートタイマーの待遇改善、男女平等社会の実現など、労働環境の改善にも引き続き取り組む。後藤氏は「集団の労使関係のなかでこそ実現できる。その役割があるのは労働組合。そういう意味で、春闘は社会的取り組みである」との認識を改めて示した。

政策提言・発信力も強化

サービス連合では働く現場からの政策提言をさらに強化する。2月には第3回となる「観光政策フォーラム」を開催するほか、申請していたUNWTOへの賛助会員加盟について、2017年9月の総会で正式に承認されたことも発表。賛助会員との連携や、UNWTOが会員限定で公開する世界統計や調査結果を活用しながら、政策提言の強化に繋げていく方針だ。

また、先ごろに登記が終了し、9月から本格稼働する関連組織「一般社団法人サービス連合情報総研」についても支援を説明。同組織は、(1)適時的確な情報の提供を通じて交流の質を高めることでより豊かな社会の実現に貢献する、(2)働くものの目線で産業の持続可能な発展に関わる根源的な問題を分析し、労働調査や人材値を結集して新しい価値の創造に繋がる提言をする、の2つの目標を掲げており、サービス連合では賛同する立場として、取り組みについて情報発信をしていく。

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…