米エクスペディアは、このほど各世代の旅行消費動向に関する調査結果をまとめた。若い世代を中心に「ブランドより利便性」、「モノよりコト」に価値を見出す傾向が強く、「コト」をSNSで強くアピールする効果を狙い、「画像よりも動画」志向が強まっていると分析。また、全世代共通の傾向として、旅行のプランニングや予約の際、ホテルや観光など様々なサービスの手配は「別々のサイトではなく一つのサイトで済ませたい」との意向が浮き彫りになった。
同調査では、米国の消費者の旅行に関する嗜好や行動傾向について、デジタルネイティブ世代ともいわれるジェネレーションZ(18~22歳)からベビーブーマー(55~56歳)まで、世代ごとの特徴などを探った。エクスペディアが民間リサーチ会社のThe Center for Generational Kinetics社に委託したもので、18歳から65歳までの計1254人から回答を得た。
ジェネレーションZの55%が「予約は1つのOTAで完結」
宿泊ホテルや旅行関連の予約についての質問で、回答者の大多数(80%)が「それぞれ別のサイトで予約するよりも、一つのサイトで済ませられるほうよい」と回答。さらにジェネレーションZ世代では、全体の87%が「あらゆる旅行パーツがすべて予約できるところが便利だ」、「他のサイトと比較しないで、OTAですべての旅行サービスを予約するか?」との質問には過半数を超える55%が「OTAですべて予約」すると答えた。
エクスペディアでは、日常的に便利なテクノロジーに慣れてしまった消費者は、旅行の予約でも利便性を求める傾向が強いと指摘。世代によっては、ブランド・ロイヤリティ以上に重視されていると分析する。
コト消費の中心的存在は「旅行」、若年層の7割が「旅行費用のためにアルバイト」
また、あらゆる世代に共通するもう一つの特徴が、洋服、電子機器、宝石など所有しているモノより、経験したコトを重要視する傾向だ。なかでも旅行は「コト」消費の中心的な存在となっている様子が浮き彫りになった。
同調査では、「可処分所得を何に使うか?」との問いに対し、全体の74%が「モノではなく、体験するコトに優先的に使う」と回答。特にミレニアル世代(22~35歳)では、65%が「現在、旅行のためにお金を貯めている最中」、ジェネレーションZ世代の71%が「旅行費用のためにアルバイトを探している」との見解を示した。
さらにミレニアル世代の11%は、「ボーイフレンドやガールフレンドと別れる時期を、一緒に計画していた旅行が終わった後に延ばしたことがある」という。また、同世代の半数弱は「旅行費用を捻出するためなら、洋服や家具を売っても構わない」と回答している。
「モノより経験」の要因は「ソーシャルメディア」、動画投稿に注目
米国の若い世代の間で、モノより経験、特に旅行への関心が高まっている要因の一つがソーシャルメディアだ。ジェネレーションZ世代の36%は、旅行先を選んだ理由について「ソーシャルメディアで見たから」と回答。投稿する内容も、新しく手に入れたハンドバッグなど「モノ系」より、木々の間を滑走するジップラインのライブ・ストリーミングなど、「コト系」が注目される傾向にある。
同じくZ世代の約20%は、特定のホテルやデスティネーションを選んだ理由として、ソーシャルメディアに投稿した時に「フォロワーからたくさん良い反応がもらえることを狙った」と答えた。旅行好きな若者たちは、一人旅も躊躇しない。ミレニアル世代の4人に1人は、過去一年以内に、レジャー目的の一人旅をしたと回答した。