クレジット取引セキュリティ対策協議会はこのほど、「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画 2018」を策定した。おもに(1)カード情報の保護対策、(2)対面取引におけるカードの偽造防止対策(IC対応)、(3)非対面取引における不正利用対策についてとりまとめたもの。2020年に向けたさらなる取り組みを図ることを目指す。
2018年に重点的に実施する施策としては、加盟店による不正利用被害減少に向けた取り組みに加え、カード会社による不正検知システムの精度向上、ワンタイムパスワードや生態認証といった認証方法の導入など、不正利用被害減少への取り組み強化を提示。協会とカード会社、ペイメントサービスプロバイダ(PSP)が連携したうえで、狙われやすい商材の傾向検証や、不正顕在化加盟店による基準や対策の検証を進める。加えて、協会では行政とも連携のうえ、業界団体等による不正利用対策への理解・認知度を高める取り組みを進める考え。
「なりすまし」など、EC分野のカード情報不正利用被害が2倍近くに急増
協会が非対面取引分野に着目した分析によれば、2016年のネットショッピング市場の取扱高は前年比9.9%増の15兆1000億円。おもな決済手段はクレジットカードが重要な位置づけにあるものの、不正アクセスなどによる加盟店からのカード情報漏えい、消費者を狙ったマルウェアやフィッシングを通じたカード情報搾取といった事案も発生していることに言及。カード情報などを不正に利用した「なりすまし」の被害総額は、2016年は前年比23.1%増の約88億円、2017年1月から9月までの9か月間には前年同期比92.2%増の約130億円だったという。
同協議会では、不正利用被害が多く発生している分野は、デジタルコンテンツ(オンラインゲーム含む)、家電、電子マネー、チケットの4業種と特定。これらを中心に取り組みを強化する必要があると分析している。